腰痛の中でも、ぎっくり腰(急性の腰痛)の痛みは格別です。
痛みでほとんど歩けなくなったりする事も多く、しかも突然そうなりますから、できれば避けたいものですね。
私の治療室でぎっくり腰になった方の話しを聞いてみると、「重い荷物を持ち上げようとして、突然なった。」という答えが多く聞かれます。 という事は、重い荷物の持ち上げ方を注意するだけで、ある程度ぎっくり腰は予防できるという事になります (もちろん根本的な原因は、腰痛になりやすいからだにあるのですが)。
そこでここでは「腰に負担のかからない荷物の持ち上げ方」を図解入りで解説していく事にします。
ぎっくり腰になる悪い荷物の持ち上げ方
まずは、よく見る典型的なぎっくり腰になる悪い荷物の持ち方を見てみましょう。
上図を見ると、足をまっすぐ伸ばしたまま荷物を掴んでいます。図の赤線の腰の角度に注目して下さい。 足に対して直角より深く曲がっているのがわかると思います。この状態から荷物を持ち上げたのが下の図になります。
上図と比較すると、動いているのが腰だけですから、ほぼ腰の力だけで荷物を持ち上げている事がわかります。又、荷物を持つ前から腰は直角以上に曲がっていまので、最初から腰の筋肉は伸びきっている状態です。実は、筋肉の一番損傷しやすいタイミングは、筋肉の伸びきった状態から力んだ時なのです。
つまり、このような荷物の持ち方では、ぎっくり腰になりやすいのも当然だと言えます。
正しい荷物の持ち上げ上げ方とは
では、腰に負担をかけない荷物の持ち方とは、どういった方法でしょうか。さきほどの悪い例の逆を考えると、2つの条件が見えてきます。
- 腰だけでなく下半身全体の筋肉を用いて持ち上げる
- 腰の筋肉が伸びていない状態から力をいれる
では、この2つの条件を満たした正しい荷物の持ち方をご紹介しましょう。下図をご覧下さい。
まず膝を曲げて荷物になるべく身体を近づけます。そうすると自然に腰の角度は垂直に近い状態になるはずです。 これなら、腰の筋肉は無理に伸ばされていない状態ですから安全です。
次に下半身の力を使って膝を伸ばし、荷物を真上にもちあげます。こうする事で下半身全体に負担を分散させるのです。 荷物を持っている時は、上半身を出来るだけ立てるようにして、腰が伸びきらないようにします。
そして荷物を置く時は、腰は垂直にたもったまま下半身全体の力を使い荷物を下に降ろします。つまり、荷物を持ち上げた時の姿勢に戻るよう動くのです。
以上、正しい荷物の持ち方を紹介しました。これらの動作を意識するだけでも十分ぎっくり腰の予防になります。 是非チャレンジしてみてください。