ここでは姿勢を矯正する為のエクササイズを紹介をしていきます。
僕は猫背だからがんばるぞ。
姿勢矯正エクササイズは、主に上半身を矯正するエクササイズで、以下の効果があります。
- せすじを伸ばす効果
- 肩から首を矯正する効果
- からだの反り返りを矯正する効果
- 肩を矯正する効果
上記を見てわかる通り、下半身への直接的な矯正効果はありませんが、上半身が矯正されると自然に下半身も正しい位置に矯正されますから心配いりません。
これから紹介するエクササイズは、筆者の長い臨床経験から姿勢矯正の為だけに考案された特別なエクササイズです。どのような悪い姿勢でも一定の効果があります。
エクササイズは毎日数分、2~3カ月は行ってください。うまくいけば半分程度までは矯正できるでしょう。
たった半分と思われるかもしれませんが、見た目の印象はかなり良くなりますので、ぜひ頑張ってみて下さい。
姿勢矯正エクササイズの特徴
これから紹介するエクササイズは姿勢矯正に特化した運動ですので、皆さんが日常行うストレッチや筋トレなどとは少し異なる特徴があります。それを簡単に紹介しておきましょう。
姿勢矯正を効率よく行うには、矯正を二つの要素に分けて考える必要があります。一つは固くなったからだを柔らかくする事(からだの要素)、もう一つは姿勢を正す動作を学習する事(意識の要素)です。詳しくは以下の記事を参照してください。
紹介するエクササイズには、この二つの要素がバランスよく含まれています。まず一連の動作を繰り返し行う事で姿勢を正す基本動作を覚えます。例えるなら茶道や剣道の「型」を覚えるのと同じです。そして動作を最後まで行うと、その形がそのままストレッチ運動になるようになっています。
このように合理的なエクササイズなのですが、その一方動作が複雑で、少しでも間違っていると、ほとんど効果がなくなってしまいます。
そこで、みなさんが正確にエクササイズを行えるように、段階的に動作を練習できるようにしています。又、理解を助ける事柄や注意点も合わせて紹介しますので、じっくり読んで挑戦してみてください。
姿勢矯正エクササイズを行う5つのコツ
エクササイズを始める前に、矯正を成功させる5つのコツを紹介しましょう。
そんなことより早く実践したのに。。。
あせらないでじっくり行うのも大切なコツですから、しっかり確認してから実践にうつりましょう。
エクササイズの実践の前に、まずは矯正を成功させる5つのコツを紹介します。よく読んでから実践に進みましょう。
無理しない。
姿勢矯正エクササイズはストレッチに類するエクサイズですが、特殊な運動である為、一般的なストレッチと比べて”伸びている”という感覚が希薄です。その為、強く伸ばしすぎてもそれに気付かず、体を痛めてしまう場合がよくあります。
最初の内はとくに軽めの力で行うようにしてください。伸びている感覚がなくても大丈夫です。動作さえ正確ならば必ず効果はあります。
ゆっくり正確に動く。
姿勢矯正エクササイズで一番重要なポイントは正確に動作する事です。そして、正確に行なう最大のコツは、ゆっくり動く事です。ゆっくり動けば意識が自然にからだの全体に行き届くようになります。
目安としては、自分がゆっくりだと思う速度の、さらに半分くらいの速度で行うのが良いでしょう。
動作を頭でイメージする
エクササイズを行う時は、動作をイメージしながら行ってください。例えばストレッチでも、伸びる部位をイメージしながら行なうと、目的に合った最適なポジションが自然にとれるようになります。
通常のストレッチと比べると姿勢矯正エクササイズは伸びている感覚がわかりずらいですから、イメージする事がより重要になります。
うまくいかなくても、あせらない
姿勢の崩れの大きい方は、最初はうまく指示通り出来ない場合がよくあります。その原因の多くは体が硬すぎる為です。
例えば、からだを折り曲げて下半身を伸ばす前屈のストレッチは、手先を足先につくまでからだを曲げるのがセオリーですが、からだの固い人はいくら頑張っても最初は足先に手は届かないでしょう。
これと同様、姿勢の悪い人も初めはからだが硬い為に指示通り動作できないのが普通なのです。
そうは言っても、あまりにもうまくいかないと不安に感じる場合もあるかもしれません。そういう時は、姿勢矯正はスポーツを覚えるのと同様だと考えてください。つまり、よほど上手な人以外は誰でも最初は不格好なものなのです。
最初はうまくいかなくても、続けるうちに、からだは少しずつ柔らかくなり、上手になってきます。あせらず取り組みましょう。
2~3カ月毎日少しづつ頑張る。
一回に行うエクササイズの量をいくら増やしても短期間で矯正はできません。からだは急速には変化しないようにできているのです。
基本的に2~3ヶ月は続ける必要があると考えておきましょう。エクササイズにかかる時間は毎日数分ですから、それほどつらくないはずです。
以上の五つがコツになります。
うーん、まとめると、ゆっくり丁寧に毎日数カ月頑張る、ってことかな?
そんな感じですね。次はいよいよ実践方法の解説です。
姿勢矯正エクササイズの実践
いよいよ姿勢矯正のエクササイズの実践法を解説していきます。まずは以下の注意事項を確認してください。
エクササイズの注意事項
循環器系疾患を患っている方、高血圧の方、頚部ヘルニア等の首に問題がある方は行わないでください。症状を増悪させる恐れがあります。
又、紹介したエクササイズによる、いかなる事故・事象も、当方では責任は負いかねます。以上同意の上、自己責任で行ってください。
エクササイズの基本姿勢
エクササイズは、全て椅子に座って行います。下の図1・左がその座り方です。胴体を地面に対して垂直にするのがポイント。お腹は軽く緊張させ肩の力はぬきます。
目線は正面に据えます。肩は丸まってもよいですが腰は丸まらないよう注意して下さい(図1-中央)。胸を張るのもいけません(図1-右)。又、エクササイズ中は基本的に目をつむらないようにしましょう。
エクササイズは全てこの座り姿勢から始まりますので、ここで間違えるとこの後すべてが失敗します。重要なポイントですすから、しっかり覚えましょう。
動作は6ステップで覚える
姿勢矯正エクササイズは、6つのステップにわかれています。最初はステップ1から始めます。完全にうまく出来るようになったらステップ2というように、上達に合わせてステップを上げていきます。
ステップ1から5までは、矯正エクササイズの動作を一つづつ分解したものです。完璧に動けるようになるまで繰り返し練習してください。
そして最後のステップ6で、それまでの全ての動作を組み合わせた本番の姿勢矯正エクササイズとなります。それぞれのステップを簡単に紹介しましょう。
頭を正しい位置に動かす方法を学習しながらストレッチをします。最初は両手を補助にして練習します。
顎を押し込む補助のみで首のストレッチを行います。
手の補助を用いずに首をストレッチします。
背中と胸のストレッチ動作を練習します。
背中のストレッチ動作に、ステップ1~3で学んだ首のストレッチ動作を組みまわせます。
ここまで学んだ動作を全て組み合わせます。矯正エクササイズの完成形です。
STEP1:首のストレッチ動作・ 両手
まずは頭の位置を矯正する為に、頭を斜め上に引き上げて首をストレッチする動作を覚えます。
上図は頭と首の構造を模したものです。頭と首は凸と凹のソケット状の構造でつながっているとイメージしましょう。
ボール(頭)をソケット(首)の上で後方へねじるような動きをイメージして下さい。よくわからない方は、動作を二つに分けて考えるとよいでしょう。一つは後頭部を上に持ち上げる動き、もう一つはアゴを後ろに押し込む動きです(図中赤矢印)。 この二つの動きを同時に行うのが首のストレッチです。
実践法
動きのイメージを掴めたら、いよいよ実践です。下の図3を見て下さい。どちらか一方の片手を後頭部に、もう一方の手をアゴにそえます。ここから手を介して頭を動かします。
後頭部側の手は真上引き上げて、アゴ側の手は押し込むように、ゆっくり力をいれます(図4)。そうする事で図4の右のような姿勢になるはずです。この時、肩と背中に力がはいらないよう注意しましょう。
うまく動作できると、アゴは床に対して平行、目線は正面になります。合わせて、後頭部に伸びの感覚を感じとれると思います。
アゴ下は蛇腹状(二重あご)になっているかもしれません。首が硬いとこのような状態になりますが、苦しくなければ問題ありません。もし苦しいならば、力を弱めて行ってください。
問題なく出来るようでしたら、次のステップへ進みましょう。少し難しく感じたり、うまく出来なかった場合は、翌日も再度同じ練習をします。
STEP2:首のストレッチ動作・片手
STEP2では後頭部には触れずに両手をアゴに添えます(下図4)。動作はステップ1と同様です。手の補助を使いてアゴを後ろに押し込み、後頭部は自力で上に引き上げます。(下図5)。
完璧に出来るようになったら、次はステップ3に移行して下さい。難しく感じたり上手に出来なければ、次の日も同様の練習を行って下さい。
STEP3:首のストレッチ動作・補助なし
次は仕上げのステップ3です。ステップ3では手の補助を一切つかいません(図6)。両手は膝においたまま今までと同様に頭を動かします。(図7)。
ここまでで頭の動かし方を覚えました。ここまで簡単にできた方でも、数日はステップ3を繰り返し練習して完璧に覚えておくことをお勧めします。
STEP4:背中のストレッチ動作
一旦頭の動作から離れて、次は背中をストレッチ動作を覚えます。背中はろっ骨を介して胸側の骨と連結していて、胸郭(きょうかく)という構造で一体となっています。まずは胸郭のイメージを下図でつかみましょう。
胸郭(きょうかく)とは、肋骨で囲まれた空間の事です。上図ではオレンジ色の部分に相当します。
胸郭の上端は首のつけね、下端はおへその少し上です。
下端はイメージしずらいので、手で触って確認しましょう。 まず、脇の下あたりを触ります。すると、硬い骨にあたるはずです。これは胸郭を囲む肋骨です。そのまま手を下にずらしていって、骨がどこまであるか探ってみましょう。 硬い骨が終わった位置が胸郭の下端になります。
その位置から手をお腹側に水平に移動してみましょう。丁度、おへその少し上ぐらいにくるはずです。
実践法
いよいよ背中のストレッチ動作を練習します。と言っても動かすのは肋骨を含めた胸郭全体です。 胸郭全体を上方やや後方に反らすことで、胸を開いて背骨を直立させるように動かします。
背骨は肋骨と連結している為、背中をストレッチするには、胸側の肋骨を上下に開かないといけません。
この動きはラジオ体操の”上体反らし”に良く似ていますが、それより力の方向は上方へ向いています。図9・10を見て動きのイメージを掴みましょう。
イメージを掴めたら、実践してみましょう。うまく動けた場合、胸側には伸びる感覚があると思います。背中の感覚については個人差の大きい為、力のかかっている事を知覚できればそれで良しとしてください。
次によくある間違いの例を紹介します。
顎だけ上がってしまう
胸郭が動いてしまう
STEP5:背中と首を合わせたストレッチ動作
背中のストレッチの動作ができるようになったら、先に行った首のストレッチ動作を組み合わせていきます。
ステップ5で行った背中のストレッチを行います。ここからステップ3で覚えた首のストレッチを続けて行います。下の図6を参考にして下さい。
このSTEP5の上半身の姿勢は、正しい姿勢(背すじの伸びた姿勢)と同じになります(背中の硬い方は図のような見た目にならないので注意)。つまりSTEP5の動作は「上半身の姿勢を正す動作」にもなっていますので、より完璧になるまで繰り返し練習が必要です。
STEP6:姿勢矯正エクササイズ
ここまで頑張って覚えた方はご苦労様でした。ついに本番のエクササイズにたどりつきました。
やった!
STEP5までしっかり練習してからだが慣れたら、いよいよ本番の姿勢矯正エクササイズです。
本番の姿勢矯正エクササイズは、これまで学習した動作を統合したものです。ですから、ここまでの動作学習があいまいだと矯正の効果は期待できません。もし実際に行ってしっくりこないようでしたら、再びステップ1から復習してから再チャレンジしましょう。
実践法
ここまで学習した動作を一度に行います。まず、これまでと同様、座って肘を組みます。下図14を参考にして、背中と首のストレッチを連動するように動作して下さい。 うまく出来れば、動作中はつねに目線は正面を向いているはずです。
最後に
長い解説になりましたね。ここまで読んでいただいた方には感謝します。そしてご苦労様でした。
2~3か月も行わないといけないのか。。できるかなぁ。。。
一回わずか数分ですから、習慣化させてしまえばそれほど大変でもないですよ。
歯磨きをする習慣のようにすればいいわけだ。
さらに効率的に矯正を行いたい方は、補助となるエクササイズを以下の記事で紹介していますので、興味のある方はご覧ください。
ではみなさん、頑張ってくださいね!!
がんばるぞー!!