アゴの上がるクセ、突き出すクセの原因は悪い姿勢にあり

姿勢のかたち
tora

はい、質問のお手紙が届いています。

mike

はいはい。

???

 写真撮影時にアゴが上がっていると指摘される事がよくあります。どうやら普段からアゴが上がっているようです。アゴの上がるクセを改善する方法はありませんでしょうか。 

tora

あー、これは僕もあるかもしれない。

mike

多くの場合アゴの上がるクセの原因は、悪い姿勢、特に猫背にあります。

ここでは悪い姿勢になるとアゴの上がるクセのつく理由と、その改善方法について解説します。

目 次

アゴの上がる原因は悪い姿勢にあり

 証明写真を撮影する時などに、「顎を引いて下さい」と指摘された経験のある方は意外に多くいらっしゃるのではないでしょうか。

 このような方は本人は気づかなくとも、日常から「アゴを上げる」、又は「アゴを突き出す」クセのある場合がほとんどです。そしてその主な原因は悪い姿勢にあります。

特に猫背の方には、ほぼ必ずアゴの上がるクセが隠されています。

 なぜそうなるのか、簡単に解説しましょう。

首が傾くと目線は下がる
猫背になると目線が下を向く

 上図は背中だけ丸く猫背になった状態を模式的に示しています。通常このような背中だけ丸まる姿勢になる事はありません。何故かというと、頭を前にかしげたままでは前を見る事ができないからです。

 このような無理のある姿勢になると、からだは自然に「一番簡単な方法で」安定した状態に戻ろうとします。

下がった目線を正面にするには顎を上げる必要がある
目線を正面に戻す一番簡単な方法はアゴをあげること

 目線を正面に戻すのに一番簡単な方法とはなんでしょうか。それはアゴを上げる事です(上図参照)。このようなことから猫背の方はほぼ必ず顎の上げるクセがついてしまうのです。

 ここでの注意点としては、猫背に伴うアゴのあがるクセは目立たない点です。

 なぜかというと、アゴが上がっていても頭は水平である為に変形が目立たないからです。このようなアゴの上がり方を「アゴの突き出した状態」とも言います。もちろん変形として見れば、アゴの上がった状態とまったく同じものです。

本人は気づきにくいアゴの上がるクセ

 ここまでアゴの上がるクセの主な原因は悪い姿勢である事を解説しました。しかし多くの場合、姿勢の悪い方はアゴの上がるクセには気づいていません。

 なぜなら先ほど解説したように、アゴの上がるクセは普段「あごを突き出した状態」として隠されているからです。

顎の上がった2つの状態
左)アゴ上がり 右)アゴ突き出し

 上図の左が「アゴの上がった」状態、右が「アゴを突き出した」状態です。

 この両者は同じ変形であるのは、先ほど解説した通りです。しかし姿勢の悪い方の多くは背中に意識が集中していて、目立たないアゴの変形には気づかないのです。

 しかし、そのような方でもアゴの上がるクセに気づく場合があります。それが写真をとる時です。

 写真をとる時、人は無意識に「姿勢を正そう」とします。猫背の方なら当然「背すじ」を伸ばそうとするでしょう。しかし多くの場合、背中だけに意識が囚われて、アゴにまで意識が回りません。

顎の突き出た人が緊張すると顎が上がる

 上図は、猫背の方が背すじを伸ばした時の見られる典型的な状態です。図を見てわかるように、背すじを伸ばした為に隠れていたアゴの上がるクセが表面に現れたのがわかります。図中のアゴの角度を示す線に注目してください。背すじを伸ばす前と後に差のない事もわかると思います。

 これ以外にも、アゴの上がるクセのある方には以下のような特徴が見られます。

  • 首が短く見える。
  • 疲れると自然にアゴが上がる。
  • いびきがうるさい。
  • まくらが高くないと安定して寝れない。

 以上のような点に複数当てはまるならば、あなたにもアゴの上がるクセが隠されている可能性が高いと言えるでしょう。

アゴの上がるクセは、首肩こり・頭痛の大きな原因

 アゴの上がるクセに気づいたならば、できるだけ早く改善されるのがお勧めです。何故かというと、アゴの上がるクセは見た目だけの問題ではないからです。

 アゴの上がるクセの本当の問題、それは健康に大きな影響を及ぼす事にあります。その中でも一番多い症状はくびの付け根のコリです。

悪い姿勢になるとアゴが上がり頭痛になる

 上図はアゴが上がると後頭部のつけねに負担のかかる仕組みを模式的に示した図です。アゴが上がると後頭部のつけねに締め付けの力が加わる事が図からわかります。このような状態になると、後頭部を中心に筋肉が緊張して、頸部から肩にかけて慢性的なコリを感じるようになります。

 しかし症状としてより深刻なのは頭痛です。

大後頭神経

 上図は首回りの筋肉と、そこから伸びる神経を模式的に示しています。後頭部の筋肉が緊張すると図中に示した「大後頭神経(だいこうとうしんけい)」が締め付けられた状態になります。すると後頭部を中心に、ズキズキする鈍痛を引き起こすようになるのです。

 一般的にこのような筋肉の緊張による頭痛を緊張性頭痛(きんちょうせいずつう)といいます。その主な原因は、このアゴの上がるクセにあると私は考えています。

 これら以外にも、「下半身を中心に緊張が高まる」「呼吸が浅くなる」「無呼吸症候群の原因になる」など、様々な問題にアゴの上がるクセは関係しているのです。

アゴの上げるクセを改善する方法

 このようなアゴの上げるクセを改善するにはどうしたらよいのでしょうか。

 もちろん悪い姿勢、特に猫背であるならば、姿勢矯正をするのが一番でしょう。しかし矯正には時間がかかりますので、ここではいくつか即効性のある方法も紹介しましょう。

  • アゴを引くのではなく後頭部を引く
  • 後頭部を柔らかくするエクササイズを行う
  • 座り方を注意する。

アゴを引くのではなく後頭部を引く

 アゴの上がるクセを正そうとすると、大抵の方は「アゴを引く」ことを意識するようになります。しかしこれは間違いです。

 アゴの上がるクセのある方が無理にアゴを引くと、気道を圧迫され呼吸が苦しくなるだけでなく、肩回りの筋肉もより緊張するようになってしまうからです。

 正しい方法は、後頭部を上に引くように動かすです。

頭をボールのようにイメージする

 上図はアゴの上がるクセのある方の正しい頭の動かし方を示した模式図です。図のように頭を首の上に乗ったボールとしてイメージしましょう。このボールを耳の穴を中心に回転させる要領で、軽く後頭部を上に引くのです。そうする事で気道を確保しつつ頭の位置を整える事ができます。

後頭部を柔らかくするエクササイズを行う

 アゴ上がりのクセの直接の原因は、後頭部の筋肉が硬く緊張している事です。ですから後頭部の筋肉をストレッチするのも効果的です。

 上記記事で紹介しているエクササイズの主な目的は姿勢矯正ですが、実は後頭部を柔らかくするのにも最適な運動でもあります。是非チャレンジしてみてください。

座り方を注意する。

 アゴの上がるクセのもう一つの大きな原因は悪い座り方です。特にパソコンなどをしている時の画面に頭を近づけている座り方が原因になります。

 上図はアゴの上がるクセのつく典型的な座り方、「頭つき出し姿勢」を模式的に示しています。このような座り方にならないようにするには、以下の点を注意すると効果的です。

  • ヘッドレストがあるならば、頭をヘッドレストから離さないようにする。
  • できるだけ深く座って、背もたれにからだを密着させる。
  • 長時間作業する場合はソファのような柔らかい座面は避ける。
  • 膝を曲げて足を椅子の下に入れないようにして、膝の角度を90度以上に保つ。

以上の点を注意して座るようにしてみましょう。

まとめ

mike

以上、アゴの上がるクセの改善方法について解説しました。

tora

緊張するとアゴがあがってしまう理由は、猫背だったんだね・・

mike

本文で解説したとおり猫背には必ずアゴの上がるクセが伴うのですが、人によってはむしろアゴの変形の方が強い場合も少なくありません。
そのような場合、アゴの上がるクセを改善しなければ猫背も矯正されないのです。
ですから特に猫背の方は、アゴの上がるクセがあるかどうかチェックされるのがおすすめです。

 最後にポイントをまとめます。

  • アゴの上がるクセの主な原因は悪い姿勢、特に猫背にある。
  • アゴの上がるクセが目立たないのは、普段は「あごを突き出した状態」として隠されているから。
  • 写真撮影時などに姿勢を正そうと緊張すると、隠れていたアゴの上がるクセが現れる場合が多い。
  • アゴの上がるクセは、頭痛や肩こりなど様々な健康問題と関係している。
  • アゴの上がるクセを矯正するには、その根本原因である姿勢矯正をするのが一番効率的。
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