ここでは猫背について紹介していきます。
僕も猫背だから、気になるぞ!!
悪い姿勢といえば猫背です。というより「悪い姿勢=猫背」というのが一般的な考え方でしょう。しかしこの猫背、意外に奥が深い姿勢なのです。例えば、猫背は一つではなく二種類あります。又、猫背は背中が丸いだけの姿勢だと思われていますが、「ぽっこり出たお腹」も猫背の特徴です。
又、最近では猫背は健康に悪影響を及ぼす事もよく知られています。特に肩こり・頭痛は猫背による典型的な症状です。他にも様々な症状が猫背と関係しています。
ここでは、この猫背について少し詳しく紹介します。
猫背には二種類ある。
まずは、実際の猫背を写真で見てみましょう。下図は典型的な猫背の方の写真です。背中の形がわかりやすいように写真は加工されています。
写真からもわかるように、実は猫背には2つの種類があります。図の左がそのままの「猫背姿勢」、右が「くび猫背姿勢」です。一見同じ姿勢に見えますが、背中のかたちに注目するとその違いがわかります。下図をご覧下さい。
上図は背中の丸みの頂点位置をわかりやすく示した図です。左の猫背は背中の中央、くび猫背はくびのつけねに丸みの頂点が位置している事がわかります。
つまり、背中全体丸いのが本来の猫背、首から肩にかけて丸いのがくび猫背なのです。分けて考える程の違いではないと思われるかもしれませが、この2つには見た目以上の大きな違いがあります。次にその違いについて紹介しましょう。
猫背とくび猫背の違い
見た目は似ている猫背とくび猫背ですが、それ以外の点でこの二つ猫背には大きな違いがあります。では、その違いとはなんなのでしょうか。手かがりは下のグラフにあります。
このグラフは、猫背とくび猫背の比率を示したものです(管理人治療室の統計)。
グラフからわかるように、実は多くの方のイメージする背中全体の丸い猫背は全体の2割程度でしかなく、ほとんどの方はくび猫背なのです。
何故、比率にこれほどかたよりがあるのでしょうか。その答えは、猫背になる原因の違いにあります。原因が悪い座り方などの日常生活習慣だけであれば、ほとんどの場合くび猫背になります。
しかし、合わせて遺伝的な性質、つまり、生まれつき背中の丸まりやすい性質も持っていると、背中全体の丸い猫背になりやすくなります。もちろん、そのような性質を持っている方はかなりまれです。その為、背中全体の丸い猫背の比率は小さいのです。
この原因の違いは、矯正の難易度の違いにもなります。くび猫背は生活習慣だけが原因ですから、変形の範囲は限定的で、矯正の難易度はさほど高くありません。しかし、遺伝が関係する背中全体の丸い猫背は、背中全体に変形がおよんでいる為、矯正の難易度は高くなる傾向があるのです。
このように、あまり見た目に違いはなくても、矯正の難易度に大きな違いがありますので、矯正を始める前に自分がどちらの猫背であるかを知る必要があるのです。
猫背になる原因はだらしのない座り方
次に猫背になる原因を考えいきます。姿勢は突然悪くなるものではなく、日々少しづつ悪くなるものですから、 猫背になる原因は日々の生活習慣、特に日々一番長く過ごしている姿勢に多くの場合潜んでいます。
まずは下の円グラフを見てください。
グラフは「日常的に一番長く過ごしている姿勢はなにか」を私の治療室でアンケートをした結果です。グラフを見ると、8割の人が「座り姿勢」であると回答しています。 という事は、座っている時の姿勢に猫背になる主要な原因が隠れているはずです。では、それはどのような座り姿勢なのでしょうか。下の図を見てみましょう。
左図は正しい座り姿勢、そして右図が典型的な猫背の原因となる座り方です。図の赤線に注目すると、背中が前に曲がっている事がわかります。このような頭を前に突き出して背中を曲げた姿勢を、ここでは頭つき出し姿勢と呼んでいます。
もし、事務作業をしている方があなたの周りに数名でもいるなら、ほぼ必ずこの座り方をしている人を見つける事が出来ると思います。 というより、いまこのホームページを読んでいるあなたの姿勢がまさにそうかもしれません。 それぐらいこの座り方は普遍的な習慣になりやすい座り方なのです。
肩の丸い姿勢から背中の丸い猫背へ
猫背の変形は、丸い背中を含めた全身の変形です。ですから、肩周りの変形だけである「頭つき出し姿勢」は、まだ猫背ではありません。しかし、いずれは猫背へと変化していきます。その典型的な過程をみてみましょう。
上図は肩だけ丸い「頭つき出し姿勢」を模式的に示した図です。図を見てもわかるとおり、傾いているのは肩から頭であり、背中はまだまっすぐの状態です。つまり、変形はまだ背中から下には及んでいません。
上図は「首つき出し姿勢」のまま立ち上がると、どのような姿勢になるのかを示した図です。見るからにからだが不安定なのがお分かりいただけるでしょうか。
実際にやってみるとわかりますが、頭だけ出して立つと重心が前に傾いてかなり不安定に感じるはずです。座っている時は椅子に下半身は固定されていて安定していましたが、立つと何も支えがないので重心は前にぶれてしまうからです。
では、この不安定な状態を改善させる為にはどうしたら良いのでしょうか。その答えは下の図をみるとわかります。
上図のように、頭に位置を合わせてお腹(下半身)も前に出せば、からだは安定します。背中に注目してください。なんと丸くなっています。 これは、からだが反り返った事で背中が「く」の字状になったからです。 このようにして肩周りの変形は全身に影響を及ぼし、結果として猫背にるのです。
そしてここで、猫背のもう一つの特徴がわかります。それは「突き出たお腹」です。からだを安定させる為のこの変形は猫背に必ず伴います。背中が丸いほどお腹も前に出てきますから、お腹の出具合で猫背の程度もわかるのです。
典型的な猫背による症状
次に、猫背による典型的な症状について解説しましょう。
ぼくは肩こりがひどいんだ。
肩こり
次は、猫背に関連するからだの症状について簡単に紹介します。猫背による一番多い症状は肩こりです。原因はいくつかありますが、頭の重さに対する首の細さが主な原因です。
人間の頭部は意外に重くて、だいたい大玉スイカ(3〜5kg)程度もあります。人間はこれを細い首だけで支えなくてはいけません。その為、首を頭の真下に位置させて最小限の力で頭を支えています。
しかし、猫背になると頭は前に突き出る為、首は後ろから頭を支える形となります(下図参照)。このままでは頭を支えきれない為、補助として首の周りの筋肉が働く事になります。そして、筋肉は使い続けると疲労が蓄積しますから、その結果「肩こり」になるわけです。
下のグラフは、「猫背の程度と肩こりを訴える人の比率」を示したグラフです。
グラフの横軸は猫背の程度を角度で表したもの、縦軸は肩こりを訴えている人の比率を示しています。このグラフからも、猫背に比例して肩こりを訴える人が増加する事がよくわかります。
腰痛
猫背と関係する症状は肩こりだけではありません。他にも複数の症状が猫背と関係しています。その中でも関連性の高いのは腰痛です。先にも解説した通り、猫背には「お腹が前に突き出る」という変形が必ず伴います。そして、このお腹の突き出しが腰痛と深く関係しているのです。
上図は、お腹が前に出る事で腰へのストレスがどうして高まるかを示した図です。図のようにお腹が前に出ると腰は反り返ります。すると、腰の関節はしめつけられた状態となりストレスが強まるのです。
他にも猫背と関連する症状は頭痛や冷え・むくみなど多数あります。仮にあなたが猫背で、原因のはっきりしない慢性的な肩こりや腰痛があるならば、猫背を矯正すればそういった症状は改善するかもしれません。
猫背を矯正するポイント
以上、猫背について解説しました。次は矯正のポイントです。
くび猫背と背中全体の丸い猫背では、からだの固まっている部位が異なります。まずは、自分がどちらの猫背か、鏡をみたり家族にチェックしてもらうなどして、判別しておきましょう。
くび猫背の人は肩から頭、背中全体の丸い猫背の人は肋骨を含めた胸全体を柔らかくする意識でエクササイズを行うようにしましょう。
猫背になる主な原因は悪い座り方です。特に長時間座りつづける場合は、肩が丸まらないよう注意して作業しましょう。
以上のポイントに注意して、姿勢矯正に是非チャレンジしてみてください
まとめ
ここまで猫背姿勢について解説しましたがいかがでしたか?
最近太ってきたと思ってたけど、これ猫背のせいだったのかも。
最後にまとめます。
- 猫背には肩の丸いくび猫背と背中全体の丸い猫背の二つかある。
- 背中全体の丸い猫背は矯正の難易度が高い。
- 猫背になる原因は、だらいしのない座り方(頭つき出し姿勢)である場合が多い。
- 猫背は背中が丸いでなく、腰が突き出てお腹が出ているのも特徴の一つ。
- 猫背になると肩こり・腰痛などの症状が出やすくなる。