はい、質問のお手紙が届いています。
はいはい。
以前から胴体が太くて鳩胸である事が悩みです。又、背中が丸くて猫背でもある事も気にしています。姿勢を矯正すれば、胴体の太さも改善されますか?
猫背になると胴体が太くなるのかという質問ですが、その事実は?
はい、確かに悪い姿勢になると胴体は太くなります。
意外に知られていませんが、悪い姿勢になると胴体が太くなるのは紛れもない事実です。これは体重が増加してそうなるわけではなく、姿勢の変化だけで太く見えるようになるのです。
ではどうして悪い姿勢になると胴体は太くなるでしょうか。
ここではそうなる原因と矯正による具体的な改善例を紹介していきます。
悪い姿勢になると胴体が太くなる理由
悪い姿勢というと丸い背中ばかりに目がいきますが、実は変形しているのは背中だけではなく、様々な部位が背中と連動して変形しています。
その中でも大きく変形する部位の一つが肋骨です。
肋骨は胸を囲んでいる細い骨で、背骨から胸側の「胸骨(きょうこつ)」にかけて斜め下に伸びています。
上図は正しい姿勢を横から見た時の肋骨を模式的に示しています。ここで注目してほしいのは、肋骨は斜め下方向に伸びているという点です。
この肋骨の伸びる方向は、猫背になると背中の動きに連動して変化します。
上図は、猫背になると肋骨の向きがどのように変化するのかを示した模式図です。図右の猫背を見ると、背中が丸まった事で肋骨全体が上下に圧縮されて、肋骨の向きが水平方向に変化している事がわかります。
上図からもわかるように、傾いていた肋骨が水平になれば、その分胴体の見かけの幅は広くなります。
このような単純な理由により、悪い姿勢なると胴体は太くなるのです。
「胸を張る」とハト胸になる
この胴体が太くなる現象は、猫背を含めた全ての悪い姿勢共通に見られるものですが、その中でも「胸つき出し姿勢」は特にそうなりやすいだけでなく、ハト胸にも見えるようになります。
胸つき出し姿勢とは「胸を張った」状態で固まった姿勢です。
一般的に「胸を張る」事は「背筋を伸ばす動作」だと思われていますが、実際はそうではなく、「胸を上に突き上げる動作」なのです。
胸が突きあがれば、胴体そのものが持ち上がって水平に近くなります。その結果、胴体はより太く見えるようになり、合わせてハト胸にもなってしまうのです。
太くなった胴体を矯正した実例を紹介
文章による解説だけでは少々わかりずらいと思いますので、ここからは実例を見てみましょう。
上の写真は典型的な胸つき出し姿勢の方の写真です。写真をみると胴体は太くハト胸の状態である事がわかります。
次に、この方の姿勢矯正後の写真を見てみましょう。
上の矯正後の写真を見ると、胴体が細くなり鳩胸も改善されている事が一目でわかると思います。これはダイエットをしたわけではなく、あくまで姿勢矯正をしただけで胴体が細くなったのです。
このように胴体の太さが改善する理由は、以下の三つに要約されます。
- 首から肩にかけての背骨が矯正されて、胸の位置が正常に戻った。
- 肋骨が水平方向から斜め下方向に矯正された。
- 反り腰が矯正された。
特に2番目の、肋骨の角度が斜め下方向に矯正された事が重要です。もう少しわかりやすくなるよう、先ほどの写真に補助線を付け加えて見てみましょう。
上の写真は、先ほどの写真に疑似的な肋骨の線を加えた図です。
矯正前(左)は水平に近くまで上がっていた肋骨が、矯正後(右)は斜め下に下がっている事がわかります。このように肋骨が背中と合わせて矯正される事で、胴体が細くなりハト胸も改善されたのです。
又、下半身に注目すると、矯正前はお腹とお尻がぽっこりしていますが、矯正後はお腹周りもほっそりしている事もわかると思います。これは、矯正により反り腰が改善されて骨盤の位置が正常化した事が主な要因です。
このように姿勢矯正をすると、胴体だけでなく全身が細くなります。実例として紹介したのは胸つき出し姿勢の方ですが、猫背の場合でもほぼ同様の事がおこります(下写真)。
まとめ
以上、胴体の太さ・ハト胸と姿勢との関係を解説しました。
実例を見ると、結構大きく変化してるね。
そうなんです。あまり知られていませんが、姿勢矯正をするとキレイに見えるようになる理由の一つが、この胴体の細くなる効果なのです。
最後にポイントをまとめます。
- 多くの場合、悪い姿勢になると胴体は太く変形する。
- 胴体が太くなるのは肋骨の角度が上向きになる事が主な原因。
- 胸を張った状態で固まった「胸つき出し姿勢」になると、胴体が太くなるだけでなくハト胸にもなる。
- 姿勢矯正をすると、胴体だけでなく全身が細く見えるようになる。