姿勢矯正はストレッチで行う方が良い理由

姿勢矯正エクササイズ

tora

そういえば教えてもらった姿勢矯正エクササイズは基本的にストレッチ運動だよね。

mike

そうです。主にからだの深部にある腱・靭帯をストレッチする事で姿勢を矯正します。

tora

僕、実はストレッチ苦手なんだよね。でも筋トレは好きだから、それで矯正できないのかな?

mike

確かに筋トレでも矯正はできるのですが、ストレッチ主体で矯正を行う方が多くのメリットがあります。

 このホームページで紹介している姿勢矯正エクササイズは、悪い姿勢を硬く固めている腱・靭帯をストレッチする運動です。

 しかし、ストレッチをするより筋力トレーニングの方が得意のという方もいらっしゃいます。特にスポーツなど体を動かす事が好きな方は、筋力を高める事でからだをつくる事に慣れていますので、そう思われる方も少なくないでしょう。

 実際、やりようによっては筋力トレーニングだけでも姿勢を矯正する事は可能です。しかし、私個人はお勧めしていません。何故なら、ストレッチで矯正を行う方がメリットが多いからです。

 そこでここでは、姿勢矯正をストレッチで行う場合と筋トレで行う場合の違いを紹介しながら、姿勢矯正にはストレッチがお勧めである理由を解説していきます。

目 次

悪い姿勢によるからだの変化

 それぞれの矯正法の特徴を解説する前に、一つ知っておかなければいけない事があります。それは、悪い姿勢によるからだの変化についてです。

 一旦悪い姿勢になると容易には元の姿勢に戻らないのは、からだの構造そのものが変化して、姿勢を硬く固定しているからです。この硬くなっている構造が何なのかを知らないと、矯正法の違いの理解もおぼつきません。

 悪い姿勢を硬く固定している構造、多くの方はそれを無意識に骨だと考えています。しかし冷静に考えれば、骨が変形していたら外科手術でもしなければ姿勢矯正は不可能だという事になってしまいます。そして、もちろんそうではないわけですから、骨が硬くなっているわけではないのです。

 悪い姿勢を固定している構造、それは骨ではなく、筋肉・腱・靭帯です。

 これは、人間を棒人形に例えて考えるとわかりやすいでしょう。人形はゴムで結ばれて安定していると考えてください。

姿勢棒人形
体はゴムで安定している。

 この人形の背中を丸めるように動かしたと仮定しましょう。

 背中が丸まるにつれて、背中側のゴムは伸ばされお腹側のゴムは緩んだ状態になるはずです。もちろんゴムには弾力がありますから、力を抜けば、弾力により元の姿勢にすぐ戻るでしょう。

人形を猫背に

 しかし、もし人形の背中を数年間丸めたままでいたらどうなるでしょうか。

 時間が経過するにつれゴムの弾力は失われて、いずれ硬く伸びなくなるでしょう。 そうなれば自然には二度と元の形に戻りません。

人形の姿勢は固定

 この人形のゴムが人間においては「筋肉・靭帯・腱」にあたります。このあたりの詳しい解説は以下の記事を参考にしてください。

 つまり姿勢矯正とは、筋肉・靭帯・腱が短縮する事で固定された骨の位置を、何らかの方法で正しい位置に戻すことだとも言えます。

筋力トレーニングによる矯正のしくみ

 では「筋肉・靭帯・腱」により硬く固められた姿勢をどのような方法で矯正するのか、まずは筋力トレーニングによる矯正の場合からみていきましょう。

 とはいえ筋肉は悪い姿勢を硬めている構造の一つです。その硬くなっている筋肉を通常通り鍛える事ができるのか疑問に思う方もいるかもしれません。

 実は、靭帯・腱とは異なり筋肉の柔軟性が完全に失われる事はまずありません。筋肉は、その働きによって収縮と弛緩をつねに繰り返しています。その為、最低限の柔軟性は保持されていますから、悪い姿勢になる事で硬くなっても十分トレーニングする事は可能なのです。

 では、具体的にどの部位を筋力トレーニングすると、姿勢は矯正できるのでしょうか。

 矯正の為にトレーニングをするのは、悪い姿勢になる事で伸ばされている筋肉です。筋肉は伸ばされると筋力が低下します。その為、再び筋力がつくと、筋肉は収縮して正常な長さに戻り、姿勢を矯正する事ができるというわけです。

 先のゴム人形の例で言えば、伸びた背中側のゴムを鍛えて収縮させ、背中から引っ張り起こして元の姿勢に戻すという事になります。

伸びた背中のゴムを再度収縮させると元の姿勢に戻る

 ただし人間の場合、この人形の例のようには単純にはいきません。何故なら筋肉の強弱の関係がずっと複雑だからです(基本的に背中側ではなく腹側の筋肉を鍛える)。

 とはいえ、最適なトレーニングをしっかり行えば、人間でも同様の考え方で姿勢矯正は十分可能なのです。

筋トレによる矯正の問題点

 以上解説したように筋力トレーニングでも姿勢矯正は可能なのですが、私個人はあまりお勧めしていません。

 お勧めできない理由は、筋肉トレーニング中心に姿勢矯正を行うと「硬い姿勢」になってしまう場合があるからです。

 悪い姿勢を固定しているのは筋肉だけではなく、靭帯・腱もある事を思い出して下さい。しかも、強固に硬いのは靭帯・腱の方です。

 つまり筋力トレーニングで姿勢矯正をした後も、腱・靭帯は硬いままなのです。

 その為、正しい姿勢を保持するには、つねに腱・靭帯の硬さに筋力で抗う必要があります。

 当然、通常と比べて姿勢を保持するのに強い筋力を必要としますから、からだは常に緊張状態です。そしてその結果、動きずらい「硬い姿勢」になってしまうのです。

からだが緊張しやすい
筋力で保持した硬い姿勢イメージ

 しかも、このような力で維持している「硬い姿勢」は、いったん力が抜けてしまえば、元の悪い姿勢に戻ってしまいます。

 筋力に自信のある方はそれでもいいと思われるかもしれません。しかし、そのような方でも年を重ねれば、いずれ筋力は衰えます。そうなれば結局は悪い姿勢に逆戻りしてしまうでしょう。

  又、常に緊張した状態は、からだとっては大きな負担です。当然健康によいはずがありません。「見た目は正しい姿勢なのに、体のあちこちが痛い。」という方がたまにいらっしゃいますが、 そのような人はこの「硬い姿勢」である場合が多いのです。

ストレッチで行う矯正の仕組みとメリット

 では、ストレッチによる矯正の場合はどうでしょうか。ストレッチによる矯正は、先のゴム人形で例えれば、硬くなったゴムの柔軟性を取り戻す事で元の姿勢に戻す方法です。

 その為、矯正された姿勢には柔軟性があり、無理な力を必要しない「柔らかい姿勢」になります。

 例えれば、弾力のある柔らかいゴムを指先でそっと曲げているような状態が「柔らかい姿勢」です。姿勢を維持する為の筋力はほとんど必要としません。

 当然、高齢になっても姿勢を維持出来ますし、ストレスもなく健康にも良いですから、まさに一石二鳥だと言えます。

筋力トレーニングは矯正後半から。

mike

以上解説したように、ストレッチで姿勢矯正をすれば、それに比例して健康にもなります。ですからお勧めなのです。

tora

じゃあ矯正の為に筋力トレーニングはしない方が良いって事なのかな?

mike

いえ、そんな事はありません。最終的には必要となる場合も多くあります。

 ストレッチによる姿勢矯正には、健康になるという大きなメリットがあるのですが、もちろん弱点もあります。

 姿勢の悪くなった原因に「筋力不足」が含まれていた場合、ストレッチだけで姿勢矯正をすると、もとの悪い姿勢に戻りやすいという弱点です。

 例えば、事務仕事などで座りっぱなしの生活をしていて、長時間立っているのが苦手なような方がそれに該当します。

 そのような方は姿勢を支える筋力がもともと不足している為、ストレッチだけで姿勢矯正をしても、正しい姿勢を長期的に維持する事ができません。

 そこで、矯正の中盤から後半にかけて筋力トレーニングを並行して行うようにします。すると筋力不足が補われて、安定して正しい姿勢を維持できるようになります。

tora

なるほど。最初はストレッチから初めて、後半から筋トレも合わせて行うと、一番良いんだね。

mike

その通りです!!

まとめ

 最後にポイントをまとめます。

  • 筋力トレーニングでも姿勢は矯正できるけど、緊張した「硬い姿勢」になってしまう場合がある。
  • ストレッチで矯正を行うと、リラックスした疲れにくい「柔らかい姿勢」になれる。
  • ストレッチで矯正した後、合わせて筋力トレーニングも行うと安定して正しい姿勢を維持できる。

  矯正治療が終わった患者さんから「良い姿勢になったおかげで、からだから力が抜けました。」と言っていただける事があります。

  正しい姿勢は快適であるべきだと私は考えています。 ですから、みなさんにも矯正をした後は「楽になった」と感じて欲しいのです。その為にはからだを柔らかくする事を優先して、まずは「柔らかい姿勢」を目指してください。

 そして、ある程度矯正が進んだ後、筋力トレーニングを合わせて行えれば、まさに完璧だと思います。

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