ぽっこりお腹の原因「反り腰」を改善する方法

姿勢矯正
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ここでは「反り腰」について、少し詳しく解説していきます。

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反り腰ってどういう姿勢?

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腰の反り返った姿勢を「反り腰」といいます。下の図の左がそうですね。

反り腰
反り腰
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腰も目立つけど、お腹がぽっこりしてるのも目立つね。

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お腹だけでなく下半身とお尻も大きく見えるようになります。しかし本当の問題は、腰痛など様々な症状の原因になる事です。
 ここでは反り腰になる理由、そしてその改善法を解説していきます。心当たりのある方は是非続きをお読みください。

目 次

反り腰に見られる二つの身体的な特徴

 まずは「反り腰」とはどのような状態なのか簡単に解説します。

 典型的な反り腰姿勢
反り腰

 上図は典型的な「反り腰」の状態を示しています。左は模式図、右は実際の患者さんの写真をわかりやすく加工したものです。図中の赤線は「そり腰」の形をおおまかに示しています。腰のつけねあたりから背中が「くの字」に折れ曲がっている状態が「そり腰」です。

 反り腰は猫背と比べて目立ちませんので、多くの場合本人は気づいていません。しかし、健康を害するという点で言えば、猫背より問題の大きい姿勢なのです。

 そこでまずは「反り腰」かどうか判別する二つの身体的な特徴を紹介します。

ぽっこり出たお腹と下半身太り

 反り腰になると、下腹のぽっこりが目立つようになります。これは骨盤が前傾した事で骨盤から下腹がこぼれおちてしまう事が原因で、肥満が原因ではありません。その為、体重の増減とは無関係にお腹が目立つようになります。

反り腰によりお腹が目立つ

 又、このようなお腹が突き出た状態になると腹筋の力も弱まります。するとそれを補うように下半身全体の緊張が強まり、特に太ももの外側からふくらはぎにかけてが緊張状態になります。緊張状態が長期間続くと、筋肉が発達して足全体が太くなり、下半身太りの一因になる場合もよくあります。

反り腰にになると腹筋が弱まり下半身の負担が増加する

お尻が大きく見える

 反り腰になると骨盤は前傾して、お尻は後ろに突き出てきます。いわゆる「でっちり」の状態になるのです。

骨盤の傾きによる見た目の違い
左の骨盤が前傾した状態が反り腰

 上図は骨盤の傾きによるお尻の見え方を模式的に示した図です。左のように骨盤が直立(後ろに傾いた状態)だと、お尻が目立つ事はありません。しかし、右のように骨盤が前に傾き「反り腰」になると、お尻が突き出たような形になり、いわゆる「でっちり」の状態になるのです。

反り腰による三つの典型的な症状

 ここまで「反り腰」の身体的な特徴を解説しました。このような見た目以外にも、「反り腰」になるとあらわれる典型的なからだの症状もあります。ここでは代表的な三つの症状を紹介しましょう。

腰痛

 「反り腰」の一番代表的な症状は腰痛です。腰が弓なりになる事で関節に締め付けの力が集中して、慢性的な腰痛を引き起こします。詳しくは以下の記事を参考にしてください。

腰痛

下半身の症状。冷え・むくみ・しびれ・足のつり

 腰痛以外にも「そり腰」になると様々な症状が下半身に現れます。特に多いのは、ふくらはぎを中心とした「冷え」や「むくみ」の症状です。これは前述したように反り腰になると下半身全体の筋肉が強く緊張する事が原因です。ひどくなると足全体にしびれを感じるようになる場合もあります。

冷え・むくみ

胃腸の働きの低下

 「反り腰」は痛みだけでなく内臓の働きを低下させる要因になる場合もあります。特に影響を受けるのが胃腸です。

姿勢が崩れる事による腹圧低下図解

 上図は反り腰によりお腹の圧力が変化する仕組みを図解しています。左の正しい姿勢では、腹筋の適度な緊張により腹圧は正常に保たれています。しかし右のように反り腰になると腹筋の力は弱まり腹圧は低下して、結果として胃腸の働きも低下してしまう場合があるのです。


 以上、反り腰に見られる典型的な症状を三つ紹介しました。ここまで解説したような特徴に心当たりのある方は、鏡などで一度自分の腰回りの姿勢をチェックしてみるとよいでしょう。

反り腰になる原因その1:猫背

 ここまでの解説で、「反り腰」は問題の多い姿勢である事をご理解いただけたと思います。ではどうしてこのような「反り腰」の姿勢になってしまうのか、次は「反り腰」になる典型的な三つの原因を解説していきます。

 まず最初の一つ目は猫背です。

 「そり腰」の原因が猫背だと言われてもピンとこないかもしれません。猫背は背中の変形ですから、普通に考えれば腰とは無関係のように思えます。しかし、からだの一部が変形すれば、それは必ず全身に影響を及ぼします。

 猫背から「反り腰」になる過程を簡単に見ていきましょう。

猫背のまま直立
猫背になって直立した図。赤線は重心位置を示す。

 上図は、正しい姿勢の人が背中だけ丸めて(猫背になって)直立したらどうなるのかを示した図です。

 図の赤線は重心位置を示していていて、背中が丸まり頭が前に突き出た事で重心も前に移動して不安定な状態になっている事がわかります。

 この不安定な状態を安定させる為に自然にからだが行うのが、「反り腰」になる事です。

猫背から反り腰へ

 上の右図は、猫背から「反り腰」になった状態を模式的に示した図です。

 図を見てわかるように、お腹を前に突き出して「反り腰」になる事で、腰の重心位置を頭の位置に合わせてバランスを安定させています。これは猫背になるとほぼ必ずおきる連動です。その為、猫背の程度に比例して「反り腰」の状態も強まる事になるのです。

 ちなみに、この逆のケースもあります。つまりまず最初に「反り腰」になり、そこから連動して猫背になってしまう場合もあるのです。

反り返った姿勢を安定させる時に猫背になる
反り腰から猫背への連動。左)反り腰になると上半身ものけ反り不安定。右)猫背になると安定する。

反り腰になる原因その2:腹筋の弱まり

 2つ目の原因として、「腹筋の弱まり」が上げられます。前述したように「反り腰」は腹筋を弱める原因でもありますが、そもそも最初から腹筋が弱いと「反り腰」になりやすいのです。

 腹筋は体幹を支える主要な筋肉ですから、弱い状態だと直立姿勢を維持する事が困難になります。そこで「そり腰」になる事で「関節」で体を支えようとするクセがつくのです。

 「関節」で体を支えるといわれても意味がわからない方も多いでしょう。これを理解するには、実際にからだを反らして「反り腰」になってみるのがよいでしょう。動きに合わせて腹筋から力が抜け、腰つけねの中心部(関節のある位置)に体重が強く乗る事を体感できるはずです。

 実は長時間立っていると腰が痛くなる原因はまさにこれです。つまり、長時間立つ事で疲労した腹筋を休ませる為に「反り腰」になって関節に負担をかけ続けた結果、腰を痛めてしまうのです。

 このように腹筋は姿勢を支える最重要な筋肉ですが、現代の生活スタイルではあまり使われずに弱まる傾向があります。

 腹筋が弱くなる生活スタイルとは、「長時間座ったままでいる」生活です。

 上のグラフは私の治療室で普段どのような姿勢で過ごしているのかをアンケートしたグラフです。グラフを見ると、座り姿勢が80%弱で、ほとんどの方が長時間座った状態で日常を過ごしている事がわかります。 

 座った姿勢では直立姿勢ほど体幹を支える必要がない為、腹筋はほとんど働いていません。その為、腹筋は弱まり「反り腰」になりやすくなるのです。

反り腰になる原因その3:胸を張る習慣

 3つ目の原因は、胸を張る習慣です。みなさんは「胸を張る」動作とは「せすじ」を伸ばす動作だと考えているかもしれません。しかし実際はそうではありません。実は「胸を上に持ち上げる動作」なのです。

 これは 図を見ると理解できます。

胸を張る動作解説
「胸を張る」とは胸を上に突き上げる動作の事

 上図は、背中の丸まった状態(図左)から、胸を張った姿勢(図右)への変化を示した模式図です。 図中の直線の交わる角度に注目して下さい。この角度は背中の丸まり具合を示しています。両者を比べるとほぼ同じ角度である事がおわかりいただけるでしょうか。つまり、胸を張っても背中の形は変化せず、胸が上に突き上がるだけなのです。詳しくは以下の記事で紹介していますので、興味のある方はご覧ください。

 このような胸を張った状態のまま固まった姿勢を「胸つき出し姿勢」と呼んでいます。

胸を張る姿勢と正しい姿勢
左)胸つき出し姿勢 右)正しい姿勢

 上図は「正しい姿勢」と「胸つき出し姿勢」を比較した模式図です。右の「正しい姿勢」と比べて左の「胸つき出し姿勢」は「反り腰」になっている事がわかると思います。これは胸を張るとお腹も前に突き出る為、連動して「反り腰」になってしまうからです。

 このようなケースで「反り腰」になるのは、多くの場合女性です。女性は男性と比べて見た目を気にしやすく、胸を張る習慣がつきやすいというのがその理由です。

反り腰を改善する3つの方法

 さて、ここまで反り腰になる3つの原因を紹介しました。以下に列挙しましょう。

  • 猫背からの連動
  • 腹筋の弱化
  • 胸を張る習慣・クセからの連動

 つまり、反り腰を改善する為には、これら3つの原因を取り除けばよいわけです。次はその具体的な方法を紹介しましょう。

猫背を矯正する

 もし背中が丸く猫背なっているならば、それを矯正しなければ「反り腰」は改善されません。自分で矯正するのでしたらエクササイズを行うのがオススメです。その為には以下の姿勢矯正エクササイズをお勧めします。

 猫背による「反り腰」はからだのバランスを安定させる為の二次変形です。ですから大抵の場合、猫背が矯正されると自然に反り腰も矯正されます。

腹筋・体幹を鍛える

 腹筋の弱まりにより「反り腰」になっているのならば、腹筋から体幹周りの筋力トレーニングをする必要があります。大抵合わせて下半身も硬くなっていますので、前屈のストレッチも合わせて行うとより効果的です。具体的な方法は以下の記事で紹介しています。

 ただし「反り腰」であった期間が長いと腰回りの組織が強く緊張している場合があり、そのまま無理に行うとケガをする場合もあります。

 そこでもし下半身の硬さに自覚があるならば、まずは先ほど紹介した姿勢矯正エクササイズや前屈のストレッチを十分に行い、背中を柔らかくしてから筋力トレーニングを行うようにしましょう。下の記事も参考にしてください。

 又、直立している時間を増やすために散歩などの習慣を身につけるのもお勧めです。お子さんであれば、スポーツなどのからだを動かす習慣を身につけさせるのも良いでしょう。

胸を張る習慣を改める

 胸を張るクセがある方は、それを改める必要があります。まずは猫背と同様、姿勢矯正エクササイズを行うとよいでしょう。この運動には胸を張るクセの改善効果も含まれています。

 又、ハイーヒールなどのカカトの高い靴を日常的に履く習慣のある方は、スニーカーなどのカカトの低い靴を用いる割合を増やすようにしましょう。ハイヒールは服装を際立たせ美しく見せる効果がありますが、胸を張る事を促す効果もある為です。

まとめ

mike

はいここまで「反り腰」について解説しました。

tora

姿勢と言うと背中ばかりに目が行くけど、腰にも注目する必要があるね。

mike

そうですね。「反り腰」は見た目の問題だけでなく、腰痛・冷え・むくみ・下半身太り、さらには胃弱・便秘など多くの健康問題とつながっています。
気になる方は是非チェックしてみてくださいね。

 最後にポイントをまとめます。

  • 「反り腰」とは、お腹が突き出て腰が弓なりになっている姿勢。
  • 「反り腰」は腰痛や下半身の冷え・しびれなど様々な症状の原因になる。
  • 「反り腰」になる原因は、「猫背からの連動」「腹筋の弱まり」「胸を張るクセからの連動」のどれかである場合が多い。
  • 「反り腰」を改善するには「猫背の矯正」「腹筋・体幹の筋力アップ」「胸を張るクセを改める」の三つの方法が効果的。
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