悪い姿勢っていつのまにかなってるじゃないですか。
そうですね。
じゃあ、逆にいつのまにかもとの正しい姿勢に戻る事はないのかな?
残念ですが、ないと思います。
悪い姿勢は何もしなくてもなるのに、おかしいじゃないですか!!
姿勢が自然に戻らないのは、からだのある部分が固まってしまうからです。
「いつのまにか」変化する、それが姿勢変化の特徴です。悪い姿勢になる原因の多くは日々の生活習慣にあります。その為日々の変化はわずかですが、それが数年積み重なると、いつのまにか悪い姿勢になっているのです。
では例えば、生活習慣を正しく見直して、それを数年維持すれば、もとの正しい姿勢に戻るのでしょうか。
答えは、残念ながら自然に戻る事はないでしょう。もちろん、さらなる悪化は防ぐ事はできますが、もともとの悪い姿勢はそのままだと思います。
一旦悪い姿勢になると自然に元の姿勢に戻らないのは、悪い姿勢になるとからだが硬く固まってしまうからです。
では、悪い姿勢を固定している構造とは具体的に何なのでしょうか。ここではそれらについて解説していきましょう。
悪い姿勢を固定している構造
一度悪い姿勢になると、からだはその形のまま硬く固定されてしまいます。硬くなっている部位は、姿勢の悪く見えているところに集中しています。例えば猫背なら、丸くなっている背中です。
しかし、背中を構成しているのは、皮膚・骨・筋肉などの複数の構造物で、これら全てが硬くなるわけではありません。
では、姿勢を固定しているのは、具体的にどの構造物なのでしようか。
多くの方は、無意識にそれは骨だと考えている場合が多いようです。では本当にそうなのでしょうか。
ここからは解説をわかりやすくする為に、人間を棒人形に例えて解説していきます。人形は、結ばれたゴムによって姿勢を維持していると考えて下さい。
ここで仮定として、人形の背中を丸めて猫背にしたとしましょう。
丸くなるにつれて人形の背中側のゴムは伸ばされ、逆にお腹側のゴムは緩んだ状態になります。そうして棒の位置関係が変化する事で背中は丸まった状態になるわけです。
ですから力をかけるのをやめれば、ゴムの弾力により、人形は元の姿勢に戻るはずです。
では、もし背中を丸めた状態のまま人形を数年間放置したとしたらどうなるでしょうか。
時間が経過するにつれゴムの弾力は失われて、いずれ硬く伸びなくなるはずです。 そうなれば二度と元の形に自然には戻らないでょう。
これを人間に当てはめれば、棒に相当するのが骨、ゴムに相当するのは筋肉などの骨をつなぐ組織となります。
つまり、悪い姿勢を固定しているのは、骨ではなく、骨と骨をつなぐ組織、筋肉・腱・靭帯※1なのです。
ただし筋肉は、日常から収縮弛緩を繰り返している為、姿勢を強力に固定するほどには硬くなりません。
一方、腱・靭帯は、そもそもが骨格を保持する事を目的とした組織ですから、固定する力は強力です。 つまり、悪い姿勢を固定しているのは、主に腱・靭帯で、ついで筋肉という事になります。
つまり、腱・靭帯は一度硬くなると自然には元に戻らないって事?
その通りです。もともと関節を固定することが目的の組織ですから、柔らかくなりにくい性質があるからだと考えています。
※1 :正確には関節周辺の軟部組織全般です。ここでは一般の方になじみやすいように腱・靭帯と限定して表現しています。
腱・靭帯をストレッチするのは難しい
悪い姿勢になり腱・靭帯が硬くなると、もう自然には元の姿勢には戻りません。その為、何らかの方法で腱・靭帯をストレッチする必要があります。
これがもし手や足の靭帯・腱であったのならば、普通のストレッチでも時間をかければ十分柔らかくする事は可能だったでしょう。
しかし、姿勢の変形が集中する背骨周辺の腱・靭帯は、構造的にストレッチが困難である為、通常のストレッチ運動で柔らかくするのは困難なのです。
その為、姿勢矯正をするには少し複雑な動作のエクササイズを覚える必要があります。このホームページで紹介している姿勢矯正エクササイズの動作が複雑なのは、このような事が理由の一つです。
ちなみに、一番効率よく腱・靭帯を柔らかくする方法は、施術を受ける事です。興味のある方は以下の記事をご覧ください。
まとめ
自然に姿勢が戻らない理由がわかりましたか?
うーん、やっぱり楽な方法はないんだね。
将来的に見つかるといいんですけど、少なくとも現時点ではないですね。
ここまでのポイントをまとめます。
- 悪い姿勢を固定しているのは、筋肉・腱・靭帯。
- 特に腱・靭帯が悪い姿勢を硬く固定している。
- 一度硬くなった腱・靭帯は、自然には柔らかくならない。