からだのかたさと姿勢

姿勢エトセトラ
mike

ここでは「からだの硬さ」について考えていきます。

tora

僕もからだが硬いよ。やっぱり猫背だからかな?

mike

必ずしもそうとは言えませんが、姿勢が関わっている場合が多いのは確かです。

 からだの運動が制限されている状態を、世間一般では「からだが硬い」と言います。例えば「からだが前に曲がらない」「足が開かない」「手が背中に回らない」などの話は日常会話でもよく話題になりますね。

 からだの硬くなる原因は様々で、必ずしも悪い姿勢が関わっているわけではありません。しかし、悪い姿勢になるとからだが硬くなりやすいのは事実です。

 そこでここでは、からだの硬さと姿勢との関係について少し詳しく解説したいと思います。

硬くなりやすい前屈運動
からだが前に曲がりにくいのはからだが硬い証拠。
目 次

「からだが硬い」には三つの種類がある

 一口にまとめて「からだが硬い」と言われていますが、よく観察するとその状態は以下の3つに分類できると私は考えています。

  • からだの緊張により硬い
  • からだの一部だけ硬い
  • 全身くまなく硬い

 自分のからだの硬さの種類がわかると、その原因もおぼろげに浮き上がってきます。それぞれ簡単に解説していきましょう。

からだの緊張により硬い

 全身の筋肉がつねに緊張している為に硬くなっているケースです。からだに触れると確かな硬さがあり、筋肉が緊張している事がわかります。人から「からだから力を抜いて」とよく言われる方がこのケースに当てはまります。

 一方、動きの範囲は正常である場合も多く、人によってはストレッチなどはむしろ得意である場合もあります。

  このように全身が緊張して硬くなってしまう原因は様々で、ホルモンなどの内科的な問題から生まれつきの気質・体質まで広く考えられます。

からだの一部だけ硬い

 全身が硬いわけではなく、からだの一部だけ硬くなり運動が制限されているケースです。例えば、からだを前に曲げるのは苦手だけど、肩を後ろに回すのは平気などのケースがこれに相当します。

 そうなる原因は生活習慣などの後天的要素が大きいと思われますが、側面方向(足を外に開くなど)の動きに関しては、生まれつきの骨の形状、動かし方の問題などが関わっている場合もあります。

全身くまなく硬い

 どの方向にからだを動かしても硬さと動きの制限のあるケースです。このケースも少なからず体質が関与していると思われれます。それほど多いケースではなく、私の治療室の患者さんでも少数派です。


 以上、からだが硬さの三つのケースを紹介しました。

 この中で悪い姿勢との関連が深いのは、2つ目の「からだの一部だけ硬くなる」ケースです。

 中でも「上体そらしは普通にできるけど、からだを前に曲げる(前屈)事が苦手」というような、からだの前方方向の動きだけが硬くなっているケースに、悪い姿勢との関与が強く疑われます。

 全身が硬いと思っている方も、一度は実際にからだをいろいろな方向に動かして、どの方向も本当に全て硬いのかどうか確認してみるのがお勧めです。

 何故なら、日常生活で行う動作のほとんどは、からだを前に曲げる動作である為、他の動きは正常であるにも関わらず全身が硬いと勘違いしている場合がよくあるからです。

tora

悪い姿勢になると背中が丸くなるのだから、のけ反るのが苦手になると思ったんだけど、逆なんだね。

mike

からだをのけ反らせる動きは腰が中心になって動く為、背中の丸まりはあまり関係ないのです。

悪い姿勢になるとからだが硬くなる原因

tora

でもなんで悪い姿勢なるとからだが前に曲がらなくなるの?

mike

それは悪い姿勢に伴うある変形が関係しています。

 悪い姿勢なると前方方向の動きだけが硬くなるのは、悪い姿勢の共通変形である「全身の反り返り」が関係しています。

全身の反り返り
悪い姿勢の共通変形、からだの反り返り。

 上図は、「全身の反り返り変形」の模式図です。左の正しい姿勢は、からだの軸が垂直線に沿っていますが、右の反り返った姿勢は軸が弓なりになって全身が反り返っています。

 この反り返り変形は、猫背も含めて悪い姿勢共通に見られる変形です。詳しくは以下の記事で解説していますので興味のある方はご覧ください。

 このように全身が反り返ると、からだの背面と前面のバランスが大きく崩れる事になります。

反り返りによるからだの緊張変化

 上の図は、からだが反り返る事でからだの全面と背面のバランスがどのように変化するのかを模式的に示しています。

 左の正しい姿勢では前面と背面のバランスは同等の状態にありますが、右の反り返った姿勢(ここでは胸を張った姿勢)は、からだが弓なりになる事で、背面全体が短縮した状態になっている事がわかります。

 このような状態でからだを前方方向に動かそうとすると、短縮した背中がつっぱってしまう為、動きが制限されてしまいます。しかしその一方、後方への動きは制限されていない為、上体反らしなどの動作は通常通り可能です。

 そして一旦このように硬くなってしまうと、原因である悪い姿勢がそのままである限り、もとの状態には戻りません。たとえ毎日ストレッチをしても、すぐ元の硬さに戻ってしまうのです。

まとめ

mike

以上、悪い姿勢とからだの硬さについて解説しましたが、どうでしたでしょうか。

tora

足を外に開く動きや肩を後ろに回す動きが硬い場合はどうなの?

mike

肩を回す動きは、丸まった背中が肩甲骨の動きを妨げている事が原因である場合があります。

足を外に開く動きに関しては悪い姿勢が原因の場合もありますが、生まれつきの股関節の形状が関わっている場合も多いですね。

 最後にポイントをまとめます。

  • 「からだが硬い」は三つの分類できる。
  • 悪い姿勢が関与しているのは、「からだの一部だけ硬い」場合。
  • 悪い姿勢との関与が一番疑われるのは、からだの前方方向の動きだけが硬い場合。
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