はい、またまた質問のお手紙が届いています。
はいはい。
子供のころから姿勢が悪く、最近さらに悪くなったように感じています。又、目も悪くて小学校低学年の頃にはすでに眼鏡をかけるほどでした。
自分では目の悪い事が悪い姿勢なった原因ではないかと考えています。実際、そうなのでしようか。
「目が悪いと姿勢も悪くなる」というのが本当かどうかという質問です。この話は僕も聞いたことがあるよ。
それではお答えしていきましょう。
目が悪いと悪い姿勢になるのは本当?
この質問者の方のように、目が悪いと悪い姿勢にもなりやすいと考えている方は意外に多くいらっしゃいます。実際、私の治療室でも頻繁に聞かれる質問の一つです。
「目が悪いと、対象物をよく見ようとして背中を丸めがちになり、これがクセになって日常化すれば猫背になってしまうではないか? 」
このように考えれば、確かにそう思えるかもしれません。
しかし私個人は、「目が悪いと悪い姿勢になる」というケースはあまりないのではないかと考えています。
何故なら目の悪い方は、眼鏡やコンタクトをして視力を補正しているはずだからです。そうであるなら、悪い姿勢になる条件は普通の人とさほど変わらないはずです。
そこで、因果関係を逆から考えてみるのはどうでしょうか。
つまり、まず最初に悪い姿勢になり、それが原因で目も悪くなったと考えてみるのです。
そう考えると理屈に合ってきます。
何故なら、悪い姿勢になって背中が丸まると、必ず対象物に目が近づきやすくなるからです。
上図のような近い位置からものを見る習慣は、視力の低下する典型的な原因である事はよく知られています。
このような事から、目が悪く姿勢も悪い方は、まずは対象物に頭を近づけるクセがあるかどうかをチェックしてみるのが良いと思います。
もし、そのようなクセがあるのならば、姿勢矯正する事でこれ以上の視力悪化を防ぐこちができるかもしれません。
目が悪いとからだはゆがむ。
このように「目が悪いと悪い姿勢になる」という考え方にあまり信憑性はないと思うのですが、「からだのゆがみ」という観点から考えると、話は少し異なります。
実は、目が悪くなると、からだはゆがみやすくなる傾向があるのです。
ちなみにからだのゆがみとは、からだのバランスが崩れている状態を意味する言葉です。
詳しくは以下の記事を参考にしてください。
からだのゆがみの中で目の悪い事と特に関係しているのが、顔のゆがみです。
具体的には目が悪いと顔が傾きやすくなる傾向があります。
なぜこのように事が起きるのかというと、ヒトの運動に視覚が深く関与している事と関係しています。
多くの生物には頭の位置を優先的に安定させようとする働きが備わっています。これは目や耳などの感覚器官が頭に集中している為、頭がぶれると精度の高い動作ができないからです。
さらに人間の場合、感覚器官の中でも視覚への依存度が強すぎる為に、「利目(ききめ)」をからだの中央にずらす(利目の反対側に顔を傾ける)クセがつく場合がよくあります。
例えば左目が利目である場合、右に顔を少し傾ける事で、顔の中央に利目を移動させようとするクセがつきます。
ちなみに利目とは、ものを見るときに主体となる目です。利目は人により左右異なりますから、以下のようにして自分の利目を調べてみましょう。
- 顔の前方に指を一本立て、両目の中央に指が位置するようします。やや顔の近めに位置させるのがコツです。
- 空いている手でどちらか一方の目を隠します。
- 目を隠した状態で立てた指を観察すると、指の位置がぶれて見える方と、そうでない方の目があるはずです。
- 利目はぶれて見えない方の目になります。
この利目をからだの中央にずらすクセは、目の悪い方ほど強まる傾向があります。そうしていつも顔の傾いた状態のままでいると、いずれその位置で固定されて、顔がゆがんでしまうのです。
顔が傾いているか確かめたい方は、鏡で見るより以下の方法で確かめると確実です。
- 目を閉じて、顔の中心は鼻筋である事を強くイメージします。イメージしずらい時は、鼻筋を指で触れながら目を閉じるのもいいでしょう。
- 目を閉じた状態で、顔の傾きを感覚だけでとらえましょう。視覚と異なりわずかな傾きでも検知できます。
もし傾いている側が利目の反対側で、目も悪いのであれば、顔の傾いた原因は目の悪さである可能性は高くなります。
まとめ
以上、視力と姿勢との関係を解説しました。
まず悪い姿勢になって、次に目も悪くなるってことか。
そう考えた方が理屈に合うと思います。
目の悪い人は、姿勢もチェックしてみるとよいね。
最後にポイントをまとめます。
- 「目が悪いと悪い姿勢になる」のではなく、「悪い姿勢になると目も悪くなる」と考えた方が自然。
- 目が悪いと、顔が傾くゆがみが発生しやすくなる。