次は、くび猫背の矯正例を紹介します。
普通の猫背と何か違うの?
背中全体が丸くなっているわけではなく、肩から首にかけてのみ丸くなっている姿勢を「くび猫背」といいます。詳しくは以下の記事を参考にしてください。
猫背で悩んでいる方の多くは自分の事を「背中全体の丸い猫背」だと思っていますが、実はこちらの「くび猫背」である場合がほとんどなのです。
なるほど、じゃあ参考になるかもね。
- プライバシー保護の為、個人が特定できないようプロフィール等は脚色が加えられています。又同様に、掲載される写真について部分的に編集されている場合があります。
- 矯正の過程は事実に基づいていますが、矯正を受けている方の人格・台詞等は全て脚色です。実際の人物とは一切関係ありません。
- 紹介されている例は筆者の矯正治療を受けた方の例です。その為、矯正エクササイズだけで矯正を行う場合とは異なります。
- 矯正の過程は個人により異なります。あくまで参考例としてお考えください。
一番典型的な悪い姿勢、それが「くび猫背」
では、今回紹介するAさん(仮)をご紹介しましょう。
Aさん(仮):こんにちは。以前から姿勢は気になっていましたが、最近は肩と腰の痛みにも悩まさせるようになり、根本から改善したいと思って今回矯正にチャレンジする事にしました。
では、Aさん(仮)の姿勢を見てみましょう。
確かに肩が丸いね。
違いをわかりやすくする為に、背中全体の丸い猫背の方と並べて見てみます。
左の方が背中全体の丸い猫背、そして右がAさん(仮)の写真です。
確かにこうやって並べると違いがよくわかるね。
先ほども言いましたが、猫背に悩む方の多くはこの「くび猫背」です。「背中全体の丸い猫背」の方は、実は全体の二割ほどにすぎません。
見た目以外にも何か違いがあるの?
一番の違いは「くび猫背のほうが矯正が容易」である点です。
この点は少し詳しく解説しましょう。
Aさんは28歳、IT系のサラリーマンで普段からほとんど座りぱなしの生活をされています。来院された主な目的は腰痛と肩こりの改善ですが、姿勢の悪い事も気にされていて、ついでに姿勢矯正もできればと考えて私の治療室に来られました。
姿勢写真を見ると、Aさんの姿勢は肩から首にかけて丸くなっている典型的なくび猫背である事がわかります。
くび猫背は長時間座り続ける事務仕事をしている人に多い姿勢です。Aさんの場合もお仕事が原因である可能性が高いでしょう。
実はくび猫背は悪い姿勢の中でも一番多く見られる姿勢です。しかしこの事を意外に思われる方もいるかもしれません。何故なら悪い姿勢と言えば「背中全体の丸い猫背」だと一般的に考えられているからです。しかし、先にも言った通り「背中全体の丸い猫背」の方は全体から見ればわずか2割に過ぎません。
この差は「悪い姿勢になる原因」に起因しています。
くび猫背になる主な原因は、「長時間事務仕事で座りっぱなし」、「ついパソコンに顔を近づけ肩を丸めて作業してしまう」などの悪い生活習慣にあります。その一方「背中全体の丸い猫背」は、少なからず生まれつきの要因が関わっている場合が多いのです。
実は幼少期の頃から悪い姿勢である場合はまれです。ほとんどの方は思春期ぐらいから少しづつ悪い姿勢になっていきます。この事は、多くの方の悪い姿勢になる原因は日々の生活習慣の中にあるという事を示しています。その為ほとんどの方は「くび猫背」になるのです。
又、くび猫背には矯正しやすいというメリットもあります。
生活習慣による姿勢の変化は筋肉や靭帯などの短縮・硬化によるものです。骨とは異なり筋肉や靭帯は一定の柔らかさがありますので、ストレッチ運動でも十分柔らかくする事ができます。その為くび猫背は矯正しやすい傾向があるのです。
なるほど。じゃあもし自分の姿勢が「くび猫背」だったならば、矯正が成功する可能性は高くなると考えてよいんだね。
その通りです。
Aさん(仮):私も子供の頃は悪い姿勢ではなかったと思います。それが高校生くらいから急に姿勢が悪くなりしました。もしかしたらその頃から座っている時間が急激に増えた事が悪い姿勢なった原因なのかもしれません。
矯正一ヶ月後
Aさん(仮)の治療計画は週一回の治療と、自宅で3分程度のエクササイズを毎日行う事です。
では、矯正を初めて一カ月後の状態から写真で見てみましょう。
おっ、結構よくなってるね。
ここまでは順調です。だいたい半分くらい矯正が進んでいる状態ですね。早いペースに思われるかもしれませんが、矯正初期は誰でも急速に改善します。
しかしここから先は、少しずつスローペースになるのが普通です。
Aさん(仮):からだの調子もいいです。肩こりはまだありますが、腰痛はほとんどなくなりました。
もうしばらく週一回の治療を続けていきましょう。
矯正3ヶ月後
さて次は矯正三カ月後の様子を見てみましょう。
おお、ほぼ背中が伸びてるね。
背中だけでなく、お腹にも注目してください。突き出たお腹がへっこんでいる事がわかると思います。このように猫背が矯正されると自然にお腹もへっこむのです。
上の写真はAさん(仮)の矯正三カ月後の写真です。左の矯正一ヶ月目に比べてほぼ背すじが伸びている事がわかります。途中から治療間隔は2週間に一回になりましたので、総治療回数は13回です。
症状も全て改善しましたから、後は自宅でのエクササイズを継続して行うようお願いをして、矯正は終了ました。くび猫背は変形の中心が首よりなほど矯正が進みやすい傾向があります。Aさん(仮)の矯正が順調だったのは、首よりの変形であった事も一因だと思います。
まとめ
では最後にAさん(仮)に矯正の感想を聞きましょう。
Aさん(仮):思っていたより早く矯正が終わってうれしかったです。でも油断すると元の姿勢になっている時もあるようなので、油断せず今後とも運動は続けようと思います。
くび猫背には「矯正が容易」という大きなメリットがあるのですが、その一方「生活習慣が原因である為、生活スタイルがそのままだと元に戻りやすい」というデメリットもあります。
Aさん(仮)の場合は、ディスクワークの多い生活習慣により体幹の筋力が弱まってる事が元に戻りやすい原因になっていると考えられます。
今後は体幹回りを無理なく鍛えながら姿勢矯正エクササイズを継続して行う必要がありますね。
姿勢を維持する為にも運動は続けないといけないんだね。
Aさん(仮):矯正エクササイズはすでに日々の習慣になっていますから、多分続けられると思います。
頑張ってくださいね。