次は猫背以外の姿勢も紹介していきましょう。ここでは「胸つき出し姿勢」の矯正例を紹介します。
胸つき出し姿勢ってどんな姿勢なの?
胸を張った状態のまま固まった姿勢ですね。下図の左側の姿勢です。右の正しい姿勢と比べると胸が持ち上がっていて腰も反っている事がわかります。
詳しくは以下の記事を参考にしてください。
では、矯正に挑戦した Cさん(仮)を紹介しましょう。
Cさん(仮):こんにちは。こちらにおうかがいする前は、まさか自分の姿勢が悪いなんて思ってもいませんでした。
Cさん(仮) は慢性的な腰痛と肩こりを改善する目的で来院されましたが、その原因は姿勢にある可能性が高い為、矯正をする事になりました。
なんで自分の姿勢が悪い事に気づかなかなったのかな。
それはCさんの姿勢を見るとわかります。
確かに背中は丸くないし、悪い姿勢にはみえないね。
この「悪く見えない」事が胸つき出し姿勢の最大の特徴です。しかし実際はからだに強い負担をかけ様々な症状を引き起こす姿勢なのです。
- プライバシー保護の為、個人が特定できないようプロフィール等は脚色が加えられています。又同様に、掲載される写真について部分的に編集されている場合があります。
- 矯正の過程は事実に基づいていますが、矯正を受けている方の人格・台詞等は全て脚色です。実際の人物とは一切関係ありません。
- 紹介されている例は筆者の矯正治療を受けた方の例です。その為、矯正エクササイズだけで矯正を行う場合とは異なります。
- 矯正の過程は個人により異なります。あくまで参考例としてお考えください。
Cさんの紹介。腰痛と肩こり原因は姿勢にあり
Cさんは31歳の女性です。慢性的な腰痛と肩こりの悩みでこちらに来院されました。
Cさんの姿勢をみると、見た目に問題ないように思えますが、実は悪い姿勢の一種である「胸つき出し姿勢」なのです。
胸つき出し姿勢とは、「胸を張った状態のまま固まった姿勢」です。一時的に胸を張る事は誰にでもあると思いますが、胸つき出し姿勢の方は背中が固まっている為に元の姿勢に戻る事はできません。その為、からだに強いストレスがかかり、腰痛や肩こりなどの症状を引き起こすのです。
実際Cさんの症状を詳しく見ると、原因は姿勢である可能性が高いと判断されました。
Cさん(仮): 実は高校生ぐらいまでは姿勢の悪い事を家族によく注意されていました。その後、姿勢を注意するようになり、最近は誰にも姿勢が悪いとは言われなくなっていました。
この「子供の頃は悪い姿勢だった」という話は胸つき出し姿勢の方から典型的に聞かれます。
つまりどういう事?
つまりこういう事です。以前Cさんは背中の丸い猫背だった可能性が高いのです。猫背は見てすぐわかりますから、家族や周りの人に注意や指摘をされた事でしょう。そこでCさんは、姿勢を正そうとして「胸を張る」事を習慣にしたと思われます。
しかし「胸を張る」こととは「背筋を伸ばす」ことではなく、「胸を上に突き上げる」ことなのです。
上図は、猫背の人が胸を張った時のからだの動きを図解したものです。図中の赤線は背中の形を大まかに示しています。
上図左は猫背姿勢を示しています。赤線で示すように猫背の背中は大まかに言えば「く」の字形です。そしてその状態から胸を張った状態が右図です。胸を上に突き上げた事により「く」の字形の背中は「L」字形に変化した事がわかります。
しかし「く」と 「L」 は見方を変えれば同じ形です。つまり胸を張っても背中の形は基本的に猫背と同じである為、からだの負担は強いままなのです。
上図右は、胸つき出し姿勢の図を時計回りに少し回転させた図です。猫背と同様に背中の形が「く」の字に戻る事がおわかりになると思います。詳しくは以下の記事で紹介していますので、興味のある方はご覧ください。
一旦胸つき出し姿勢になると、もう誰も姿勢の悪い事には気づきません。しかし、姿勢による体への負担だけは蓄積されていきます。そしてある時、腰痛や肩こりなどの症状に悩まさされるようになるのです。このようなケースは決して珍しいものではなく、むしろ典型的なケースです。
なるほど。見た目にはわからなくても体に負担は蓄積されていたわけだね。
Cさん(仮): 私も腰痛や肩こりの原因が姿勢にあると聞かされてびっくりしました。せっかくだから根本的に改善しようと思い、姿勢矯正しようと決心したのです。
Cさんの矯正治療は、週一回の施術と自宅での3~4分程度のエクササイズです。基本的には猫背の場合と同じです。
Cさん(仮): 頑張ります!!
治療1ヶ月 。変化の遅い胸つき出し姿勢。
まずは矯正一か月後、治療回数で言えば4回目ぐらいの状態を見てみましょう。
あれ? あまり変化してないね。
胸つき出し姿勢の矯正は、猫背と比べて初期の変化が遅いのが特徴です。
なんで?
姿勢の崩れた原因が「からだ」ではなく「意識」にある場合が多いからです。
上の写真(右)は、矯正一ヶ月後くらいのCさん(仮)の姿勢写真です。写真を見ると矯正があまり進んでいない事がわかります。
このように変化が遅いのは、胸つき出し姿勢の方はエクササイズの動作(姿勢を正す動作)の習得に手間取る場合が多いからです。
胸つき出し姿勢の方は「正しい姿勢とは胸を張った姿勢」であると無意識に強く意識しています。その為、本来の正しい姿勢になろうとすると、強い違和感を感じて逆に「背中を丸めている」と誤認識してしまうのです。その結果、姿勢を正す動作の習得に時間のかかる場合が多くみられます。しかし、ここを乗り越えなければ矯正は進みません。
Cさん(仮): 頭では理解できるのですが、どうしても姿勢を正す動作を正確にできないのです。
こういう場合、どうすればよいのかな?
スポーツを覚えるのと同様、繰り返し練習するしかないですね。胸つき出し姿勢の矯正はここが頑張り所です。ここを乗り越えれば、後は難しい事はありません。
Cさん(仮): あきらめずに頑張ってみます。
治療3ヶ月目
その後Cさん(仮)は、あきらめずにエクササイズの練習に力をいれて取り組みました。そして矯正を初めて三カ月、その結果を見てみましょう。
一番右がその矯正後の写真です。
おおっ! 矯正前と比べて大きく姿勢が変化したね。
矯正後の姿勢が「健康的」な正しい姿勢です。下図と見比べてください。矯正前と比べてからだの凸凹が少なくなった事がわかります。
左の姿勢はモデルさんのような姿勢だけど、右の姿勢は自然体に見えるね。
どちらが美的にキレイであるかは意見が分かれるかもしれません。しかし健康という視点で言えば、明らかに右が正しい姿勢なのです。
Cさん(仮): 今は腰痛も肩こりもまったくありません。それどころか体から力が抜けて疲れにくくもなりました。
矯正はここで終了しました。自宅でのエクササイズだけは継続して行ってもらう事にしました。
まとめ
さてCさんに矯正の感想を聞きましょう。
Cさん(仮): 矯正をしたおかげで腰痛や肩こりがなくなっただけでなく疲れにくくもなりました。
家族からは「見た目に体が細くなって肩回りもすっきりした」とも言われてます。あくまで健康の為にだけ矯正に取り組みましたが、最終的に矯正をして本当によかったと思います。
喜んで頂けてよかったです。