ここでは姿勢矯正によりお腹がスリムになった例を紹介します。
矯正しただけで痩せるの?!
あくまで「見た目」にスリムになるという事で、体重が減るわけではありません。
なんだー、じゃあたいしたことないね。
いえいえ、あなどるなかれ下手なダイエットよりお腹がスリムに見えるようになる場合も多いのです。
さっそく見ていきましょう。
- プライバシー保護の為、個人が特定できないようプロフィール等は脚色が加えられています。又同様に、掲載される写真について部分的に編集されている場合があります。
- 矯正の過程は事実に基づいていますが、矯正を受けている方の人格・台詞等は全て脚色です。実際の人物とは一切関係ありません。
- 紹介されている例は筆者の矯正治療を受けた方の例です。その為、矯正エクササイズだけで矯正を行う場合とは異なります。
- 矯正の過程は個人により異なります。あくまで参考例としてお考えください。
お腹がぽっこりの猫背姿勢
まずは今回矯正にチャレンジするHさん(仮)を紹介しましょう。
Hさん(仮):こんにちは。慢性の腰痛が悩みでこちらにうかがいしまた。姿勢の悪い事は知っていましたがあまり気にしてませんでした。むしろそれより最近はお腹が目立つ事の方が気になってます。
上の写真がHさん(仮)の姿勢写真です。背中が丸く猫背ですが、同時にお腹がぽっこりしている事も写真からわかりますね。
猫背も気になるけど、確かにお腹も目立ってるね。
Hさん(仮)は58歳男性で、慢性的な腰痛と肩こりに悩んで来院されました。特に腰痛がひどく痛みをつねに感じているそうです。
Hさん(仮)の姿勢写真を見ると、背中の丸い猫背姿勢である事がわかりますが、同時に下腹部を中心にお腹がぽっこりしている事もわかります。Hさん(仮)自身も太っている事が腰痛の原因だと考えているようです。
Hさん(仮)の腰痛がひどくなった時期はいつからですか?
お腹が目立つようになってきた頃からです。ですからダイエットしなくちゃと思って努力はしているのですが。
では体重も増加しているのでしょうか?
それが体重はあまり変化してないんです。不思議ですよね。
なるほど。やはり腰痛の原因は姿勢である可能性が高いですね。
エ? 今の話に姿勢関係あった?
大いに関係しています。その理由を次に解説しましょう。
猫背になるとお腹がぽっこりする理由。
実は、体重の変化はさほどないにもかかわらずお腹がぽっこり目立ってくるというのは、姿勢の悪い方からは多く聞かれる話なのです。
実際、姿勢の悪い程度に比例してお腹はぽっこり目立ってくるようになります。
その理由を理解する為に、Hさんの姿勢写真をもう一度見てみましょう。
上の写真は、Hさん(仮)の姿勢に体の太さを表す線を加えたものです。Aの線は胸部の太さ、Bの線は腹部の太さを示しています。二つの線を比べると、ほとんど同じ長さなのがわかります。
つまり客観的に見れば、お腹だけに特別脂肪がついているわけではないのです。
では、何故太って見えるのでしょうか? もう一度二つの線の垂直方向の並びに注目して見比べてみると、胸部を示すA線より腹部を示すB線の方が前方にずれている事がわかります(下図参照)。
つまり、腹部だけが前方にずれているのです。その結果、体からお腹がはみ出て目立つようになり、太って見えているのです。
そしてこの「お腹だけ前にずれる」原因が、多くの場合猫背にあります。
上図左は猫背を模式的に示しています。図中の赤い垂直線はからだの重心位置です。
図を見てわかるように、猫背になると頭は前に突き出た状態になり、その分だけ重心は前にずれた状態になります。
するとからだはお腹を前に突きだして重心をからだの中心に戻そうとします。これはほとんど無意識の動きです。その為、本人の気づかないうちに、猫背になればなるほど太って見えるようになるのです。
なるほど。つまり、Hさん(仮)のお腹が目立つようになったのは、いつのまにか猫背になっていたからか。
その可能性が高いですね。そしてこの猫背による「ぽっこりお腹」が腰痛の原因である可能性も高いのです。
お腹がぽっこりすると腰痛になる理由
猫背になると、それに比例してお腹が前に突き出てきます。すると腰は弓なりに変形する事になります。この変形を「反り腰」変形といいます。
上図の右が反り腰の模式図です。このように腰が弓なりの状態になると、筋肉は上下に縮んで緊張状態になり、関節は締め付けられストレスが高まります。そしてその結果、慢性的な腰痛になってしまうのです。
つまり、太って見える事も腰痛も姿勢が原因という事ですか?
その可能性が高いと思います。ですから姿勢矯正をすれば、お腹もすっきりして腰痛も改善すると思いますよ。
じゃあ矯正頑張ります!!
ぽっこりお腹に腹筋運動は必要?
Hさん(仮)が太って見える原因は悪い姿勢であり、症状の原因も同様である事を説明し、姿勢矯正を行う事を了承してもらいました。
治療計画は、週一回の施術と毎日3分間程度の姿勢矯正エクササイズです。
又、Hさん(仮)は前屈が苦手でほとんど体が前に曲がりません。この事が症状と姿勢悪化の原因の一つになっていますので、前屈のストレッチは最初から毎日数分やってもらう事にしました。
ここでHさん(仮)から、「腹筋運動をした方が良いか」という質問がありました。これはお腹がぽっこりしている方の多くが疑問に感じる事です。
お腹を少しでもひっこませる為に普段から少しだけ腹筋運動をしているのですが、これは続けた方がいいですか?
腰痛が改善するまでは無理に行わない方がいいですね。
早くお腹をへっこませるには、やった方がいいじゃない?
姿勢の悪いまま無理な腹筋運動しても筋力がつかないだけでなく、さらに腰痛が悪化するケースが多いのです。
ですからまず矯正を優先して、矯正後にゆっくり腹筋を鍛えた方が良いと私は考えています。
矯正2ヶ月ですっきりしたお腹に
Hさん(仮)が矯正を初めて二カ月がたちました。
現在の状況を写真で見てみましょう。
おおっ!! まだ背中は少し丸いけど、お腹がスリムになってる!!
腰の痛みはもうほとんどないです!!
上の写真は、約2ヶ月後のHさんの写真です。体の太さを示す線(紫色)の垂直方向のずれが改善した事でお腹がへっこんだのがよくわかりますね。そのおかげで、かなりすっきりした見た目になりました。
矯正前と矯正後でからだの太さを示す線の長さに変化がない事にも注目してください。つまり痩せたわけではなく、あくまで姿勢が変化した事だけでスリムに見えているのです。
肩の丸みはまだ完全に矯正されていませんが、症状はほぼ改善しましたので、Hさんの治療はここで終了する事にしました。後は自宅でのエクササイズで矯正を続けてもらいます。
Hさん(仮)のように姿勢矯正後お腹周りがスリムになるのは特別な事ではありません。
実はお腹がぽっこりでてくる「反り腰」は全ての悪い姿勢の共通変形なのす。ですから姿勢矯正をすると、ほとんどの方は同時にお腹周りもスリムに見えるようになります。
まとめ
さて、最後にHさん(仮)に矯正の感想をお聞きしましょう。
お腹もすっきりしましたし、腰痛もほぼ治りました。満足です!!
良かったです。でも姿勢はまだ完全に良い状態ではありませんから、自宅でのエクササイズは是非続けてください。そうすれば、さらに良い姿勢になるだけでなく腰痛の再発も防げると思います。
はい、頑張って続けます!!