ここでは歩き方と姿勢との関係について解説しようと思います。
悪い姿勢になると歩き方もおかしくなるの?
必ずそうなるわけではありませんが、多くの場合そうなります。そこでここでは、典型的な悪い姿勢による歩き方の特徴と、そうなる仕組みを解説していきます。
悪い姿勢による歩き方の変化
歩き方がおかしくなる原因は多数あり、必ずしも悪い姿勢が関係しているわけではありません。しかし、以下の特徴に当てはまるのならば、その原因は悪い姿勢である可能性が高まります。
- 悪い姿勢である。
- ばたばたと足音がとうるさい。
- О脚ぎみで、からだが左右にゆれる。
- 目線が下がりぎみになる。
このように悪い姿勢なると歩き方がおかしくなるのは、からだの重心位置がずれる事と関係しています。
正しい姿勢である場合、重心はくるぶしやや前方に位置しています。しかし悪い姿勢になると、重心は背中側にずれて、かかと付近まで下がってしまいます。
上の図は、正しい姿勢と悪い姿勢の模式図です。図中の垂直線は、体重の通り道を示しています。
図を見ると、正しい姿勢の重心は足のくるぶし付近にありますが、右の悪い姿勢はかかと付近まで重心が下がっている事がわかります。
距離としてわずかな重心のずれですが、歩き方には大きな影響を及ぼします。実際にどのように影響を及ぼすのか、一つづつ見ていきましょう。
足音がうるさくなる
歩行という動作は、ただ足を前に動かすだけの単純なものではありません。安定した歩行をするには全身が複雑に連動して動く必要があります。
そういった無意識に行われている動作の中に、からだを少し前に傾けるという動作があります。これは、重心を少し前方にずらす事で、足を前にだしやすくする為の動作です。
例えば、早く走ろうとすると自然にからだが前傾姿勢になるのは、重心をより前方にずらす事で足を前にだしやすくしているからなのですが、これと同様の仕組みだと考えるとわかりやすいでしょう。
通常特に意識する必要もない動作なのですが、悪い姿勢になり重心が後ろにずれていると、自然に行う事が困難になります。結果、歩行時に足か前に出にくくなり、足音がうるさくなるのです。又、物につまずきやすくなるのも、よく見られる特徴です。
О脚ぎみになり、からだが左右にゆれる
重心が背中側にずれると、外側にからだがぶれやすくなります。通常、正しい姿勢であれば、歩行時にからだが外側にぶれる事はほとんどありません。これは、体重を内側(足の親指側)に向けようとする力が常に働いているからです。
しかし、悪い姿勢になり重心がずれると、膝を中心とした下半身に内向きの捻じれる力が加わります。すると力の向きが逆転して、からだの外側(足の小指側)に体重が逃げるようになり、からだが左右にぶれやすくなるのです。
又、同様の理由で、足はО脚気味になる傾向もあります。
目線が下がりやすくなる
もともと悪い姿勢は目線が下がりやすいのですが、歩く時にそれがより顕著になる傾向があります。
そもそも、なぜ悪い姿勢になると重心がずれるのかというと、悪い姿勢には「全身の反り返り」変形が必ず伴うからです。全身が反り返れば、上半身の荷重は背中側に傾きますから、当然重心は背中側にずれる事になります。
先にも解説したように、歩行時にはからだを少し前に傾ける必要があるのですが、全身が反り返ったままだと、反った腰が邪魔をして、必要以上に上半身を傾けなければならなくなります。そしてその結果、目線は下がってしまうのです。
ちなみに背中が丸いほどこの傾向は強まる為、猫背の人ほど目線が下がりやすい傾向があります。
又、下がった目線を無理に正面を向けようとした結果、「あごが突き出て上がる事で目線が上向きになる」というまったく逆の特徴となって表れる場合もあります。
姿勢を矯正すると歩き方も改善する
以上、悪い姿勢の方にみられる特徴的な歩き方を解説しました。合わせて靴のすり減り方もチェックしてみると良いと思います。以下の記事を参考にしてください。
思った以上に姿勢は歩き方に関係してるんだね。
そうですね。紹介したような特徴に複数当てはまるならば、歩き方だけ正そうしても根本的な解決にはなりません。まずは歩き方の事は一旦忘れて、姿勢矯正にチャレンジするのがよいでしょう。
最後にポイントをまとめます。
- 悪い姿勢になり重心が背中にずれる事で、歩き方にも影響が出る。
- 悪い姿勢になると、歩いている時に足音がうるさくなり、ものにつまずきやくなる。
- 悪い姿勢になると、歩いている時にО脚ぎみになり、からだが左右に振れる。
- 悪い姿勢になると、歩いている時にうつむきやすくなる。
- 改善には、歩き方そのものではなく、まずは姿勢を矯正する方が効果的。