はい、質問のお手紙が届いています。
はいはい。
質問です。歩いていると、つっかかってころびそうになる事がよくあります。段差のない所でもつまずくので、歩き方が悪いのかとも疑っているのですが、もしかして姿勢とも何か関係があるのでしょうか。
つまずきやすさと姿勢との間に関係性があるのか、という質問です。
実は大いに関係しています。少し詳しく解説しましょう。
つまづきやすさと姿勢との関係
読まれている方の中にも「地面に何も障害物がないのにつまづいて転びそうにる事がよくある」という方がいらっしゃるかもしれません。実はこれは姿勢の悪い方に見られる典型的なサインの一つなのです。
一般的に「つまづきやすさ」の原因は、下半身の筋力の弱さや歩き方の問題がよく言われますが、単純に悪い姿勢が原因である場合も多いのではないかと私は考えています。
特に下腹部がぽっこり前に出ている腰つき出し姿勢は、つまづきやすくなる姿勢です。
腰つき出し姿勢の方がつまづきやすいのは、悪い姿勢の中でも「全身の反り返り変形」が強いからです。ではなぜ「全身の反り返り変形」があるとつまづきやすくなるのでしょうか。次はその仕組みを解説しましょう。
全身が反り返るとつまづきやすくなる。
「全身の反り返り変形」とは、お腹が前に突き出る変形の事で、全ての悪い姿勢に見られる共通の変形です。
上図は正しい姿勢(一番左)と、三つの悪い姿勢「猫背」「胸つき出し姿勢」「腰つき出し姿勢」を比した模式図です。赤線はからだの中心を示しています。左の正しい姿勢と比べると、全ての悪い姿勢はからだの中心よりお腹が前に突き出てている事がわかります(図中の赤色部)。これは、全身が反り返っている為にそう見えているのです。
上図は「全身の反り返り変形」の模式図です。からだが弓なりに反りかえると、その頂点部であるお腹が前に突き出る事がわかると思います。そしてこのように全身が反り返ると、からだの重心位置は背中側にずれてしまいます。
通常歩行時は、わずかにからだは前傾した状態になっています。これは重心を前にする事で足を前に出しやすくしているのです。この前傾の程度は歩行する速度と比例しています。ですから走っている時はより前傾度合が強くなります。
しかし「全身の反り返り変形」があると、重心は後ろに傾いている為、からだを前に傾かせる事が困難になります。その為足は前に出ずらくなる為に足首の柔軟性が失われ、結果としてつまづきやすくなるのです。
このような理由によりつまづきやすくなっている人からは、「足音がうるさい」「靴のかかとの減りが早い」などの話もよく聞かれます。これらは全て歩行時に足首が動いてない事を示す典型的なサインなのです。
以上、悪い姿勢になるとつまずきやすくなる理由を解説しました。次はどうすればつまづきやすさを改善できるのか、その為の2つのポイントを紹介しましょう。
「つまずきやすさ」を改善する二つのポイント
「つまづきやすさ」の原因が悪い姿勢である場合、根本的に改善するには姿勢矯正をする必要があります。しかし矯正をしなくても、二つのポイントを注意する事である程度改善する事が可能です。それぞれ解説していきましょう。
足首を柔軟に動かす意識をする。
悪い姿勢の方がつまづきやすくなる要因の一つとして「足首の柔軟性のなさ」があります。そこで足首の動きを意識しながら歩いてみましょう。
具体的には、足裏が地面につく時にカカトの外側から着地するようにします。そしてそのまま地面から足が離れる時は足の親指で地面をけるように意識してみてましょう。そうする事で足首が柔軟に動いてつまづきづらくなります。
ただし最初はあまり長時間意識しない方がいいでしょう。 足首の動きが変化すると働く筋肉も変化しますから、やりすぎると股関節や足首を痛めてしまう場合があるからです。 最初は一日30分程度にとどめ、少しずつ時間を増やしていくのが良いでしょう。
ふくらはぎを柔らかくする
姿勢の悪い方の足首が硬いのは、主にふくらぎが緊張している事が原因です。実は「全身の反り返り変形」があると必ずふくらはぎは硬く緊張した状態になります。
上図は「全身の反り返り変形」による筋肉の働きの変化を示した図です。図を見ると、腹筋の働きが弱くなる一方、下半身全体の筋肉の緊張が強まる事がわかります。その中でも特に緊張するのがふくらはぎの筋肉なのです。
ふくらはぎは足首を動かす筋肉です。ですからふくらはぎが緊張した状態になると足首が柔軟に動かなくなりつまづきやすくなります。特に「前屈が苦手」「かかとをつけたまましゃがむ事ができない」などに思い当たる方は、ふくらはぎの緊張が原因である可能性が高いと言えるでしょう。
そこでふくらはぎをやわらかくする為に、毎日少しだけ前屈のストレッチをしましょう。
詳しいやり方は以下の記事で紹介しています。
ストレッチを続けてふくらはぎが柔らかくなれば、柔軟に足首が動くようになり、つまづきやすさも改善するでしょう。
まとめ
以上、つまづきやすさと姿勢との関係を解説しました。
足の小指をよくぶつけるんだけど・・これも姿勢のせい?
それは単なる不注意だと思います・・。
最後にポイントをまとめます。
- つまづきやすさと姿勢との間には深い関係性がある。
- 「全身の反り返り変形」により重心が後ろに傾く為につまづきやすくなる。
- 足首を柔軟に動かすように意識するとつまづきづらくなる。
- ふくらはぎが硬いと足首が動かなくなる。ストレッチをしてふくらはぎを柔らかくしよう。
- 根本的な解決には姿勢矯正が必要。