洋服とは違う和服に似合う姿勢とは?

姿勢のかたち
tora

はい、質問のお手紙が届いています。

mike

はいはい。

???

 初めて着物を着たのですが、自分にはあまり似合いませんでした。テレビで着物の似合う俳優さんを見ると、姿勢がとてもきれいです。着物の似合う姿勢になるにはどうしたらよいですか?

tora

確かに着物の似合う人は姿勢も良いイメージがあるね。

mike

服装と姿勢との間にはおもしろい関係があります。実は洋服(西洋の服)と和服では似合う姿勢が異なるのです。
ここでは、姿勢と服装の関係について解説しましょう。

目 次

洋服と和服では似合う姿勢が違う

 服装によって似合うお化粧が異なるのと同様、姿勢にも服装との相性があります。

 実は洋服と和服では似合う姿勢が異なるのです。下の図を見てください。

胸を張った姿勢と背筋の伸びた姿勢
左)洋装に適した姿勢 右)和服に適した姿勢

 上図の左が洋装、つまり通常のフォーマルな服装に適した姿勢で、いわゆる「胸を張った姿勢」です。そして右が和服に適した姿勢で、ここでは「背すじの伸びた姿勢」と呼んでいます。

 これが事実かどうかは、市販のマネキンを見ると確かめる事が出来ます。実はマネキンには和服用と洋服用の二週類があるのです。下の図を見て下さい。

洋服と和服用のマネキン図
左図)洋装用のマネキン 右図)和服用のマネキン

 上図は洋装(左)と和服(右)のそれぞれのマネキンのかたちを示した図です。マネキンの姿勢が大きく異なる事がわかりますでしょうか。先に示した姿勢の図と比べて見てください。左の洋服用のマネキンは「胸を張った姿勢」、和服用のマネキンは「背すじの伸びた姿勢」である事がわかると思います。

和服は「自然」、洋服は「デフォルメ」

 このように和服と洋服で姿勢が異なるのは、服装への考え方(文化)の違いに原因があるのではないかと私は考えています。

 洋服(特に女性用)の多くは「からだのかたちを強調(デフォルメ)」する考えで作られています。ですから、メリハリのある胸を張った姿勢が似合います。

 その一方、和服は「服としての機能優先,、又はからだのかたちを隠す」考えで作られています。その為、無理のない自然な「背すじの伸びた姿勢」の方が似合うのです。

 つまり、服装に対する考え方の違いから、それに似合う姿勢も異なるのです。

和服の似合う姿勢をする三つのコツ

 ではここで和服に似合う「背すじの伸びた姿勢」をする三つのコツを紹介しておきましょう。

  1. 胸を張らない。肩を引かない。
  2. 後頭部を上に引っ張りあごを引く。
  3. 背中と肩から力を抜いてお腹で呼吸をする。

胸を張らない。肩を引かない。

 洋服の場合は胸を張る方が映えますが、和服の場合は逆効果です。むしろ胸を下げるくらいの意識をもつようにしましょう。

後頭部を上に引っ張りあごを引く。

 胸を張らないように意識すると、頭が前に出て肩が丸まり猫背に見えてしまう方もいると思います。

 しかしだからと言って胸を張ってはいけません。猫背になっていると感じたならば、胸の位置は固定したままで頭だけ正しい位置に動かして下さい。

頭だけ正しい位置にもってくる

 その頭の動かし方を模式的に示したのが上の図です。頭を凹状の首の上に乗っているボールだとイメージします。そうして耳を中心に頭を回転させつつ後頭部を引き上げるのです。図を参考に繰り返し練習してみましょう。

背中と肩から力を抜いてお腹で呼吸をする。

 姿勢を保持する為に無理に力まないようにしましょう。合わせてお腹で呼吸するようにも意識します。

 からだを力で抑え込もうとすると、すぐに疲れてしまいますし、後でどこかしら痛むようになります。実は力まずリラックスした方が胸も下がり背すじも伸びやすくなります。又、お腹で呼吸する事を意識すると、より力が抜けやすくなり胸も上がらなくなります。


 以上三つのコツを守れば、少なくとも和服を着た時にちぐはぐに見える事は少なくなるはずです。

 又、胸を張らないとどうしても猫背になってしまう方は、すでに姿勢の悪い方です。その場合は、以下のエクササイズをして、背中を柔らかくするのがよいでしょう。

  上の記事で紹介しているエクササイズは、「和服を着る三つのコツ」を実践するにはもってこいのエクササイズです。その理由は後で説明しますが、興味のある方は是非チャレンジしてみてください。

和服の似合う姿勢は健康にもよい

 以上和服の似合う姿勢をするコツを紹介しました。しかし読まれた人の中には「なんだか大変そう」と感じた方もいるかもしれません。

 確かに今や和服を着る機会は成人式やお正月ぐらいしかありませんし、ファッション雑誌等を見てもほとんどは洋装ですから、わざわざ苦労してまで姿勢を意識する必要はないように思えます。

しかし、和服の似合う姿勢には、それとは別に大きなメリットがあります。それは「健康に良い」というメリットです。

 実は和服の似合う姿勢とは、このホームページで紹介している「正しい姿勢」と同じなのです。

正しい姿勢
からだに良い正しい姿勢

 上図はこのホームページで推奨している「からだに良い正しい姿勢」です。見ての通り和服の似合う姿勢とまったく一緒です。ですから先に紹介した「からだに良い正しい姿勢」になる為のエクササイズは和服の似合う姿勢になるのに最適だと言えるのです。

 そもそも正しい姿勢とはどのような姿勢なのでしょうか。

 もちろん見た目に良いというのも重要です。しかし日常生活でより重要なのは、「からだに良いかどうか」ではないでしょうか。

 実は、洋服に似合う胸を張る姿勢は、からだの負担の強い姿勢です。

 胸を張るとプロポーションが強調されてメリハリがでますが、同時にからだは緊張して特定の部位(特に腰と肩)に負担が偏ってしまうのです。

胸つき出し姿勢と正しい姿勢

  一方、和服の似合う姿勢は、自然の法則に逆らっていませんので、からだにストレスをかける事はありません。

 この質問者の方のように、和服が似合わないと感じている方は、これを機会に是非、「背すじの伸びた姿勢」を意識してみてください。その苦労に見合うメリットがあるはずです。

まとめ

mike

以上、和服の似合う姿勢について解説しました。

tora

つまり和服を着るのは健康にも良いってことなんだね。

mike

そうですね。日常的に和服を着るのは別の意味で大変でしょうけど。。。

 最後にポイントをまとめます。

  • 和服と洋服では似合う姿勢が異なる。
  • 和服に「胸を張る」のは似合わない。それは和服用のマネキンを見ると一目瞭然。
  • 和服の似合う「背すじの伸びた姿勢」は健康にも良いので、覚える価値あり。
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